サーキュラーエコノミーはこの数年で急速に注目されるようになり、その勢いは確実に増している。

多くの人が「サーキュラーエコノミー」について語り、多くの人の関心が集まる一方で、「サーキュラーエコノミー」や「サーキュラーエコノミーの原則」という言葉の定義について議論する場は十分ではない。実際に話す対象者や解決しなければならない課題、話者の視点によって、「サーキュラーエコノミー」の定義は時として大きく異なる。

Circle Economyはサーキュラーエコノミーの共通理解を促進するために、NGOや政府機関、研究機関、コンサルティングファームなど20の組織が用いていたサーキュラーエコノミーに関わる様々な用語や定義をマッピングした。これらを咀嚼し、グループ分けをし直すことで、サーキュラーエコノミーの共通言語となる、7つのキーワードが浮かび上がった。

サーキュラーエコノミーの共通理解に重要なこれら7つのキーワードについて解説する。

※この記事は、発行元であるオランダのCircle Economyの許可を得て筆者が翻訳、コメント(最下部「筆者の目」)しています。(原文:MAKING SENSE OF THE CIRCULAR ECONOMY: THE 7 KEY ELEMENTS

①「未来のためのデザイン」

設計プロセスの中で、システム思考の視点を用いて、適切な資源を使い、適切な製品寿命を実現するため、もしくは将来できるだけより長く使えるよう設計する。

固定概念を破るスタートアップ

オランダのFairphoneは、公平な資源と良い労働条件のもと、部品ごとの再利用やリサイクルが可能なモジュラーデザインのスマートフォンを設計している。2016年に発売されたFairphone2は、同社の市場における立ち位置を強固にするものとなった。

大企業

2015年にTarkettに買収されたDessoは、サーキュラーなオフィスカーペットタイルを設計・製造する世界的ブランドだ。同社は、利用後の回収・再利用・リサイクルが可能な製品を自社技術によって設計・開発した。

サーキュラー・ジョブ

建築家は建物の設計を担うが、建築の過程で使用される資源の寿命を延長したり、建物が使われるときのエネルギー効率を考えたり、その後建物が不要になった後の解体についても責任を担う。よって、建築家は「将来のために設計」することでサーキュラーエコノミーに貢献する。

②「デジタルテクノロジーを組み込む」

デジタル・オンラインプラットフォーム・テクノロジーは、資源の利用を追跡・最適化し、サプライチェーン上のプレイヤー間の調整をすることを可能にする。

固定概念を破るスタートアップ

ルクセンブルクのFloow2は、世界初となる企業のための資産共有オンライン・マーケットプレイスだ。企業はこのプラットフォームによって需要と供給のバランスを取り、コスト削減・製品の利用率向上を図ることができる。

大企業

DHLは世界最大手の物流サービスプロバイダーだ。同社は、クラウドベースの物流やドローン、「parcelcopters(小包コプター)」などの新しくエネルギー効率の良いサービスを物流システムやデリバリーチェーンに組み込む実験を行っている。

サーキュラー・ジョブ

データ・アナリストは膨大な情報を紐解き、解釈することでデータ集計から複雑なデータマイニングまでを行う。この職種はデジタルテクノロジーを組み込む戦略に深く関わることから、スマートシステム構築とサーキュラーエコノミー実現のための技術統合において重要な役割を担う。これらの仕事には、データサイエンスやコンピューターエンジニアリングといった比較的新しい分野での学識が求められることも多い。

③「既存製品の保存・寿命延長」

資源が一度製品になったら、製品としての利用期間を最大限に伸ばすため、製品寿命を延長するためのメンテナンス・修理・アップグレード、そしてもう再利用に向けた回収戦略が重要となる。

固定概念を破るスタートアップ

ACTronicsは、オランダからヨーロッパ全域に対して自動車部品を供給する自動車部品サプライヤーだ。革新的な技術で回収・改修した電子コンピューターを自動車サプライチェーンに提供することで、廃棄を減らし、20%ものコスト削減を実現する。

大企業

オランダのロイヤルフィリップスはグローバルヘルスケア企業として、イノベーションを通じてより健康でサステナブルな世界を目指している。その一環として、同社は医療用の画像処理機器類の再製造と改修のためのプログラムを始めている。

サーキュラー・ジョブ

電化製品の技師は製品寿命を延長することでサーキュラーエコノミーに貢献する。サーキュラーエコノミーの戦略のひとつである「製品を使い続けること」を実現するのに必要不可欠なメンテナンス・修理に関わる全ての職はサーキュラー・ジョブといえる。

④「リジェネラティブなエネルギーは最優先」

資源とエネルギーとして使われるのは、再生可能で再利用可能な、無害の原料でなければならず、効率を高めることも重要となる。

固定概念を破るスタートアップ

オランダのSkyNRGは、新たなサプライチェーンと製造工程を実現する航空機用サステナブル燃料のパイオニアだ。同社はすべての大陸にまたがる25社を超える航空会社に燃料を提供している。

大企業

Vitensはオランダで飲料水を提供する最大手。革新的なアプローチで持続可能な飲料水の供給を可能にする。

サーキュラー・ジョブ

太陽光パネルの設置業者は、エネルギー産業において再生可能なエネルギー源として太陽光エネルギーの利用を推進する立場にいる。「リジェネラティブなエネルギーを最優先」することはサーキュラーエコノミーへの移行のために第一に行うべきことであり、太陽光パネル設置業者はサーキュラーエコノミーに大きく貢献するサーキュラー・ジョブといえる。

⑤「廃棄物を資源として使う」

廃棄物の流れ(ウェイスト・ストリーム)を二次資源として再利用・リサイクルして活用することはサーキュラーエコノミーにおいて重要だ。

固定概念を破るスタートアップ

Ioniqaは自社で独自開発した技術によって、廃棄されたPETボトルから高品質の原材料をつくる。同社は2016年アクセンチュア・イノベーション・アワード、サーキュラーエコノミー部門を受賞している。

大企業

Renewiは、ヨーロッパ9カ国にまたがり廃棄物を回収して製品をつくる。廃棄された資源を活用し、多くの企業と連携することで付加価値の高い様々な製品を生み出す。

サーキュラー・ジョブ

リサイクル可能なごみの分別と資源への回復はリサイクルを行うための重要な工程だ。これは「廃棄を資源として使う」ために欠かせない仕事であり、重要なサーキュラー・ジョブだ。リサイクルのための仕事は、身体的な作業や資源の分別、フォークリフトなどの機械の運転なども含まれる。る。

⑥「ビジネスモデル再考」

製品とサービスをつなぎ直すビジネスモデルを通して、資源に価値を生み出し、活用のためのインセンティブをつくることはサーキュラーエコノミーへの移行に欠かせない。

固定概念を破るスタートアップ

Bundlesは、洗濯機などの家電製品をリースで顧客に提供することで、製品をサービス化し、顧客エンゲージメントを通して製品寿命を延長することに成功している。

大企業

世界大手マットレス・ベッド製造メーカーのAupingは、製造する製品の完全サーキュラー化を目指す。同社は、製品の製造・輸送を完全サーキュラー化するだけでなく、ビジネスモデル自体を利用ごとに支払うリースモデルに切り替えることで、製品と資源の所有権を持ち続け、結果自社がより耐久性の高い製品の製造と製品のメンテナンス・修理を行うことにインセンティブを生み出している。

サーキュラー・ジョブ

リースの仕組みをコーディネートするリース・プロセス・マネージャーは、複数のマーケットセグメントにまたがる外部のサービスパートナーとの交渉・調整を行う。製品のサービス化を主導で進めるこの仕事は、「ビジネスモデル再考」の戦略でサーキュラーエコノミーに貢献する。

⑦「価値共創のための連携」

サプライチェーンを通して、社内外のパートナーと透明性を高め、価値を生み出すために連携することはサーキュラーエコノミー実現には欠かせない。

固定概念を破るスタートアップ

Dutch aWEARnessはサーキュラーな法人向けの制服を提供する。透明性を高め、情報を共有することでサプライチェーン全体の協力体制を築く。

大企業

オランダのDSMは、資源と栄養・健康に重きを置いて活動する多国籍総合化学企業だ。 革新的ソリューションを生み出すために社内の関係者同士の連携を強め、さらには社外の教育機関・公的機関などとも積極的に連携する。

サーキュラー・ジョブ

業界団体の役員は、特定の産業で活躍する複数企業からなる会員組織を巻き込み活動する。企業間の知識共有、ネットワーキングなどを強化することで、より良い連携を可能にする。よって、これらの活動をするプロフェッショナルたちは「価値共創のための連携」戦略からサーキュラーエコノミーの実現に貢献する仕事といえる。

筆者の目

近年急激に関心を集め、多くの人が取り組むサーキュラーエコノミーだが、言葉だけがひとり歩きしてしまうと本来ともに取り組めるステークホルダーたちがすれ違うことにつながり、これは大きな機会損失となりうる。

サーキュラーエコノミーのための共通言語を整理し、重要な概念を同じ前提で理解するためのこれらの7つのキーワードが今後重要性を増していくことは間違いない。

This translation has been prepared by an unofficial third-party translator outside of Circle Economy. While considerable efforts have been made to provide an accurate translation, details may be inconsistent with the original text.

【本文】MAKING SENSE OF THE CIRCULAR ECONOMY: THE 7 KEY ELEMENTS

【参照】

World Economic Forum: Towards the Circular Economy
Walter Stahel
Hannover Principles
TU Delft: Circular Economy: An Introduction
Ellen MacArthur Foundation: Principles of a Circular Economy
Ellen MacArthur Foundation: Principles and Characteristics of a Circular Economy
Accenture: Circular Advantage
Accenture: From Rhetoric to Reality
MVO Nederland: Circular Procurement Guide
Radboud University: WEconomy Index
Circulaire Business Modellen
EU Commission: Closing the Loop: An EU Action Plan for the Circular Economy
University of Cambridge: The Circular Economy Toolkit
VBDO: Benchmark of Circular Business Practices
Dutch Sustainable Growth Coalition: Circular Economy Definition and Principles
The Blue Economy: Principles
The Natural Step: The Four System Conditions
Natural Capitalism
Regenerative Design
Scottish Government: Making Things Last
European Remanufacturing Network
Sustainable Finance Lab & Circle Economy
Plan C: Infographic
Plan C
Het Groene Brein: Kenniskaart
Official document: Dutch Second Chamber 35 750 XIII
SITRA & Circle Economy: Service-Based Business Models & Circular Strategies for Textiles