株式会社ブリヂストンは6月6日、再生材・再生可能資源材比率を65%以上に高めたタイヤを開発し、2025年8月にオーストラリアで開催される世界最高峰のソーラーカーレース「ブリヂストン・ワールド・ソーラー・チャレンジ(BWSC)」に供給すると発表した。パートナー企業との共創により開発した新しいリサイクル素材を初めて適用し、サーキュラーエコノミーの実現に向けた取り組みを加速させる。

今回供給されるタイヤには、同社の基盤技術「ENLITEN(エンライトン)」が搭載されている。この技術は、タイヤに求められる性能を確保しながら、環境性能を向上させるものだ。特筆すべきは、パートナー企業との連携によって実用化されたリサイクル素材の採用だ。

画像の出典:ブリジストンのウェブサイト

ENEOS株式会社と共同で、廃タイヤを精密熱分解して得られる再生カーボンブラックを初めて採用した。この技術は、ブリヂストンが東京都小平市の自社施設に導入した実証設備を用いて開発を進めてきたもので、新エネルギー・産業技術総合開発機構(NEDO)の助成事業による成果でもある。

また、日本製鉄株式会社および山陽特殊製鋼株式会社との協業により、廃タイヤから回収したスチールを電気炉で再生し、タイヤの補強材であるビードワイヤとして再利用する。これは、廃タイヤを原料として再びタイヤ部材へと生まれ変わらせる、先進的なリサイクルの取り組みだ。

これらのリサイクル素材に加え、帝人アラミド社が製造する循環型のアラミド繊維も採用することで、再生材・再生可能資源材比率65%以上を達成した。ブリヂストンは、BWSCを「走る実験室」と位置づけており、約3,000kmにおよぶ過酷なレース環境で技術を磨き、将来の製品開発に活かす方針だ。

さらに、製品だけでなくバリューチェーン全体での環境負荷低減も進めている。タイヤの輸送にはDHL社の「GoGreen Plus」ソリューションを活用し、持続可能な海上燃料を使用することで、燃料の生産から使用までのライフサイクル全体でCO2排出量を最大85%削減する。

ブリヂストンは2013年からBWSCのタイトルスポンサーを務めており、このイベントを通じて次世代モビリティ向けの技術革新と、それを担うエンジニアの育成を支援してきた。今回の取り組みは、複数の企業が連携し、高度なリサイクル技術を実用段階へと引き上げるものであり、タイヤ業界におけるサーキュラーエコノミーの実現に向けた具体的な一歩となる。

【プレスリリース】Bridgestone Supports the 2025 Bridgestone World Solar Challenge with ENLITEN Tires, which Feature the First Application of New Recycled Materials
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