中部経済産業局はこのほど、サーキュラーエコノミー移行に向けて解決すべき課題の整理と具体的な取り組みの検討を2023年度中に開始すると発表した。

自動車関連産業を中心とした動脈産業と、高いリサイクル技術を持つ静脈産業の可能性を活用するとしている。

サーキュラーエコノミー移行加速を目指し、経済産業省は2023年3月に「成長志向型の資源自律経済戦略」を策定した。同戦略の実現に向けて、産官学サーキュラーエコノミーパートナーシップに参画する会員の募集を2023年9月に開始。経済産業省は、動静脈連携加速に向けた制度整備の検討開始も計画している。中部経済産業局が今回発表した動静脈産業連携による具体的な行動の検討は、経済産業省の方針に沿うものとなる。

中部経済産業局は2023年4月、環境・リサイクル課(旧称)を「環境・資源循環経済課」に改組。従来の3Rの延長では実現が難しい「サーキュラーエコノミーへの移行」に向けて取り組みを強化していきたい考えだ。2023年度は自動車関連産業を中心に、欧州ELV(自動車設計・廃車)指令や日本の産官学パートナーシップ形成などの動向を注視し、サーキュラーエコノミー移行に向けた調査を実施する。資源循環における課題を整理し、プラスチックや非鉄金属などを対象に具体的な取り組みについて検討する計画だ。

調査は、以下の手順で実施する。

  1. 資源循環の課題を把握するべく、静脈産業にヒアリングする。車や部品の形状・材質・添加物などについて、水平リサイクルの障壁となっている要因を整理する。国内外の政策実施機関や関係団体にもヒアリングする
  2. ヒアリング結果をもとに、水平リサイクルの障壁となっている要因、および材質・選別・価格など類別ごとに課題を整理する
  3. 動静脈産業のキーパーソンと検討会を開催する。整理した課題をもとにテーマ(プラスチックや非鉄金属など)を選定し、循環型設計の実装と資源循環の実現に必要な行動について議論する。材料の選択と水平リサイクル手法について議論し、技術的な課題・仕組み・制度の運用など具体的な行動につなげる
  4. 「具体的な行動イメージ」をまとめ、管内の有力企業と中小企業に実効性のある取り組みを促し、必要に応じて中央への政策提言を行う

サーキュラーエコノミー関連市場は、国内外での大幅拡大が見込まれており、世界全体では2030年に4.5兆ドル、2050年に25兆ドルに拡大するとアクセンチュアは予測している。日本国内では、2020年に50兆円だったサーキュラーエコノミー関連市場を2030年に80兆円、2050年に120兆円に拡大することを目指しており、さまざまな組織が取り組みと連携を加速している。

【プレスリリース】サーキュラーエコノミー移行の加速に向けた調査事業を実施します~動脈・静脈産業連携による具体的なアクションの検討~
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