経済産業省はこのほど、サーキュラーエコノミー(CE)に関する産官学のパートナーシップに参画する会員の募集を開始したと発表した。CEに積極的に取り組む国、自治体、大学、企業・業界団体、関係機関・関係団体などを構成員とする連携組織を立ち上げ、関係主体の有機的な連携を通じてCEの実現に必要な施策の検討をオールジャパン体制で行うための基盤となる。

サーキュラーエコノミー情報流通プラットフォームを構築

同省は2020年5月に「循環経済ビジョン2020」を策定。2023年3月には、資源循環経済政策の再構築等を通じた国内の資源循環システムの自律化・強靱化と国際市場の獲得を目指して、総合的な政策パッケージである「成長志向型の資源自律経済戦略」を策定した。岸田文雄首相は8月中旬、富山県内の金属リサイクル加工会社を視察した際に「高い技術を活かした『地域に密着した資源循環の取り組み』は、まさに我が国が強みを持つ分野であり、地方活性化の観点からもCEの視点は重要であると感じた」などとコメントしている。

CEの実現に当たっては、個社ごとの取り組みだけでは経済合理性を確保することは難しく、関係主体の連携による協調領域を拡張させることが必須であるとして、同戦略の実現に向けた具体的なアクションの一つとして本パートナーシップを立ち上げる。本パートナーシップでは、今後の日本のCEに関する方向性を定めるため、2030年、2050年を見据えた日本全体のCEの実現に向けたビジョンや中長期ロードマップの策定を目指す。各製品・各素材別のビジョンや中長期ロードマップの策定も目指すとしている。

また、循環に必要となる製品・素材の情報や循環実態の可視化を進めるため、2025年を目途にデータの流通を促す「サーキュラーエコノミー情報流通プラットフォーム」を立ち上げるとともに、自治体によるCEの取り組みを加速し、CEの社会実装を推進するため、地域の経済圏の特徴に応じた「地域循環モデル(循環経済産業の立地や広域的な資源の循環ネットワークの構築等)」の構築を目指す。このほか、標準化、マーケティング、プロモーション、国際連携、技術検討などについても順次検討し、産官学連携によるサーキュラーエコノミーの実現を目指す。

本パートナーシップには、CEに取り組む企業・業界団体、自治体、大学・研究機関・関係機関団体に該当する主体が参加申請できる。各主体の要件や申し込みフローは以下の通り。

企業、業界団体向け

  • 本パートナーシップへの参画から原則1年以内に、CEに関する定量的な目標設定を行い、事務局へ提出。また、当該目標を変更(軽微な変更を除く。)した場合にも事務局へ提出。
  • CEに関する定量的な目標及び当該目標の達成のための具体的な取組についてホームページ等で公表。
  • CEに関する定量的な目標の達成度について、原則1年ごとにフォローアップを行い、事務局へ提出。

自治体向け

  • 本パートナーシップへの参画から原則1年以内に、CEに関する定量的な目標設定を行い、事務局へ提出。また、当該目標を変更(軽微な変更を除く。)した場合にも事務局へ提出。
  • 当該自治体の環境基本計画等の次期の改定の際にCEに関する定量的な目標を盛り込み、公表。
  • CEに関する定量的な目標の達成度について、定期的(※任意で設定)にフォローアップを行い、事務局へ提出。

大学、研究機関、関係機関・関係団体向け

  • 本パートナーシップへの参画から原則1年以内に、CEに関するプロジェクトを実施し、又はCEに関するプロジェクトに参加し、当該プロジェクトを通じた取組を継続的に実施。
  • CEに関するプロジェクトの成果について、定期的(※任意に設定)に情報開示を行うとともに、事務局へ提出。

以下のプレスリリースにはこのほかの詳細が記載されており、同ページより申請用紙などをダウンロードできる。

【プレスリリース】
サーキュラーエコノミーに関する産官学のパートナーシップの会員募集を開始します(経済産業省 2023年9月12日)