オランダ・アムステルダムに本拠を置くサーキュラーエコノミー推進団体のCircle Economyは3月25日、スイスに本部を置く自然保護基金団体MAVA基金の支援を受け、サーキュラーエコノミーの推進に向けて行動計画を策定する都市を支援するためのオンラインツール「Circle City Scan」 のベータ版を公開し、ツール利用者の募集を開始した。

同ツールは、自治体がサーキュラーエコノミーへの移行を推進するにあたり、どの分野に焦点を当てるべきかを示す役割を果たすものだ。

最近の新型コロナウイルスの流行から気候変動に至るまで、グローバルな緊急事態に対応する必要性が高まるにつれて、住みやすく、活気があり、レジリエントな都市づくりに向けた生存戦略としてサーキュラーエコノミーを推進する動きがますます加速している。

一方で、政策決定者が利用できるサーキュラーエコノミーの現状を把握するためのデータが不足しており、それぞれの都市や地域にとってサーキュラーエコノミーの推進に当たって最も関連する領域についての洞察を得にくいのが現状だ。

オンラインツール「Circle City Scan」は、公開もしくは独占的な社会経済データやマテリアルフロー(原材料の採取から廃棄までの流れ)に関するデータ、類似都市のケーススタディ、ツールを利用する各都市からのインプットに基づき、各地方自治体がサーキュラーエコノミーを推進する上で優先すべき機会を発見することができる。

本ツールは、アムステルダムや英グラスゴー、スイス・バーゼル、カザフスタン・アルマティ、米フィラデルフィアなどの都市で過去5年間にわたってサーキュラーエコノミー推進を支援しているCircle Economyの専門家が制作した。

現段階ではクローズドで登録制であるが、自治体・コンサルタント・プロジェクト開発者の登録を歓迎している。登録すると同ツールの使用や共同開発が可能となる。英語ではあるが、関係者はぜひ登録していただきたい。

ここ最近では、Circular Economy Hubでも取り上げたエレン・マッカーサー財団のサーキュラリティ測定ツール「Circulytics」、製品のサーキュラリティを可視化するスタートアップ「Circular IQ」やブロックチェーンとAIで廃棄物をマッチングする「Excess Materials Exchange」など、データや根拠に基づいた効果測定ツールやサービスの発表が続いている。ある特定の領域でサーキュラーエコノミーの施策を感覚的に進めていると実は他の予期せぬ分野で環境負荷を高めてしまうことはよくあることだ。このような検証可能なツールが出揃うことで、正確性をもって実行できる環境が整い始めた。

【参考サイト】CIRCLE ECONOMY ANNOUNCES CIRCLE CITY SCAN DIGITAL TOOL TO SUPPORT CITIES’ TRANSITION TO THE CIRCULAR ECONOMY” Circle Economy
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