コスモエネルギーホールディングス株式会社のグループ各社は、廃食用油を原料とした国産SAF(持続可能な航空燃料)の供給を本格化させた。5月1日、コスモエネルギーグループが国内初の大規模生産による国産SAFを関西国際空港で日本航空株式会社(JAL)が運航する旅客便に初めて供給している。5月12日には、コスモ石油株式会社、日揮ホールディングス株式会社、株式会社レボインターナショナルが、東京都が実施する「家庭の油 回収キャンペーン」と連携し、SAF原料となる家庭系廃食用油の回収拡大に向けた取り組みを開始したことを発表した。

この国産SAFは、コスモ石油、日揮ホールディングス、レボインターナショナルの3社により設立された合同会社SAFFAIRE SKY ENERGYが製造する。同社はコスモ石油堺製油所内に年間約3万キロリットルのSAF製造設備を2024年12月に完工し、2025年4月から供給を開始した。製造されるSAFは、持続可能な製品の国際的な認証制度である「ISCC CORSIA認証」および「ISCC EU認証」を取得しており、環境価値が証明されている。

5月1日にJALの関西発上海(浦東)行きJL891便(JALミャクミャクJET)へ供給されたのが、この大規模生産国産SAFの旅客便への初供給であり、関西国際空港における旅客便へのSAF供給としても初めての事例となった。この取り組みは、2021年にNEDO(国立研究開発法人 新エネルギー・産業技術総合開発機構)の助成事業として採択されたもので、国内におけるSAFの継続的なサプライチェーン構築の重要な一歩と位置付けられる。

今回の東京都との連携は、SAF原料のさらなる安定調達を目指すものだ。コスモ石油、日揮ホールディングス、レボインターナショナルは、2023年8月に東京都と「廃食用油回収促進に係る事業」に関する協定を締結し、「東京 油で空飛ぶ 大作戦~Tokyo Fry to Fly Project~」を展開してきた。東京都が5月2日から開始した「家庭の油 回収キャンペーン」は、今年9月に開催される東京2025世界陸上を契機としたもので、都庁舎や都内区市町村約80か所に廃食用油の回収所を設置し、回収を呼びかける。

日揮ホールディングスは回収に必要な備品発注等で協力し、レボインターナショナルが廃食用油を回収、SAFFAIRE SKY ENERGYがこれをSAFに精製する。精製されたSAFはコスモ石油を通じて航空会社に供給され、一部は羽田空港で使用される見込みだ。キャンペーンは10月31日まで実施される。

コスモエネルギーグループは「2050年カーボンネットゼロ」を掲げ、国産SAF供給に向けたサプライチェーン構築を進めてきた。今回の旅客便への供給開始と東京都との連携強化により、航空輸送におけるSAF利用を一層推進し、資源循環とサステナブル社会の実現に貢献していく方針だ。

【プレスリリース】大規模生産による国産SAFを関西国際空港発のJAL旅客便に初供給~コスモエネルギーグループのSAFで世界の空へ初フライト~
【プレスリリース】SAF原料化を目的とする食用油の回収拡大に向けて東京都の世界陸上を契機とした「家庭の油 回収キャンペーン」と連携
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