大和工業株式会社と株式会社EVERSTEELは6月、鉄リサイクルの効率化を目的として、画像認識を用いた実践的な鉄スクラップ自動解析AIシステムの効果検証を開始した。

一般社団法人 日本鉄鋼連盟によると鉄の原料のうち再生材の投入割合は38%と、鉄のリサイクル率はプラスチックなどと比べて高い。大和工業グループは、省エネに寄与する電炉で鉄スクラップをリサイクルする事業を展開している。

鉄リサイクルの現状について、大和工業株式会社は以下の見解を示した。カーボンニュートラル実現において、鉄リサイクル促進に向けた鉄スクラップの品質向上は重要課題の一つである。現在、大和工業グループ製品の原材料である鉄スクラップの品質はさまざまで、熟練工が鉄スクラップの受け入れ時に検品作業を実施することで原材料の品質を担保している。しかし、大量の鉄スクラップの正確な管理には高いスキルが要求されるとともに、日本全体で熟練工の高齢化・人材不足が顕著化しているという問題がある。

これを解決するべく、大和工業株式会社は鉄スクラップリサイクル工程とAIの両分野で高い専門性を有し、鉄スクラップの効率的な選別を可能にするAIソリューションの技術を持つ東京大学発のスタートアップである株式会社EVERSTEELと同システムの共同開発を開始した。

同効果検証の開始までに、両社は次のように取り組みを進めてきた。

  1. EVERSTEELが保有するベースラインAIモデルを大和工業に最適化した
  2. 従来の画像単位での等級査定技術に比べて、独自技術の活用により高精度な等級査定と異物検出を実現することを確認した
  3. 2021年11月〜2022年3月、技術検証を実施し一定の成果を得た

今後、両社は上述の課題の解決を目指し、精度を向上させるべく共同開発を進めていく意向だ。スクラップの品質向上は国内外の重要な共通課題であり、同技術の海外展開も視野に入れて取り組んでいくとしている。

こうした最先端のAIシステムなどの開発・導入が、公共インフラをはじめ幅広い産業に欠かせない鉄のリサイクル率向上と社会問題解決に貢献していくことが期待される。

【プレスリリース】大和工業とEVERSTEEL、鉄スクラップ自動解析AIの実用化に向けた効果検証を開始 脱炭素社会に向け鉄リサイクルを効率化