株式会社 大丸松坂屋百貨店はこのほど、日揮ホールディングス株式会社・株式会社レボインターナショナル・合同会社SAFFAIRE SKY ENERGYと、大丸松坂屋百貨店の店舗で使用された食用油(以下、廃食用油)を国産の持続可能な航空燃料(SAF)製造の原料として供給する基本合意書を締結した。

基本合意書を締結し、廃食用油をSAF製造に供給する取り組みは百貨店業界で初となるとしている。

4社の役割は、次のとおり。大丸松坂屋百貨店の店舗で排出される廃食用油をレボインターナショナルが収集し、SAFFAIRE SKY ENERGYに引き渡す。SAFFAIRE SKY ENERGYは、大阪府堺市に建設中の日本初となる国産SAFの大規模生産施設において、廃食用油からSAFを製造する。同施設は、2024年度下期~2025年度初頭に生産開始予定。日揮ホールディングスは、同事業に関するサプライチェーン全体を構築する。

今回の提携の全体像(図:J.フロント リテイリンググループ 株式会社 大丸松坂屋百貨店 プレスリリース 2023年9月6日)

大丸松坂屋百貨店は、大丸心斎橋店と大丸芦屋店で廃食用油の提供を開始する。両店舗から排出される廃食用油は全店舗の総排出量の約15%を占めている。今後、提供店舗の拡大を目指すとともに、国産SAFの認知向上と普及に向けてイベントなどを通じて顧客に伝えていきたい考えだ。

SAFFAIRE SKY ENERGYは、2022年11月に日揮ホールディングス・レボインターナショナル・コスモ石油株式会社が設立した。SAFFAIRE SKY ENERGYは、国内で発生する廃食用油のみを原料としたSAFを年間約3000万リットル供給することを目標に掲げている。同SAF製造事業は、国立研究開発法人新エネルギー・産業技術総合開発機構(NEDO)が採択した助成事業だ。4社は同取り組みを通じて、国産SAFの供給体制を整えていきたいとしている。

人が原因で発生する温室効果ガスの排出量において航空業界が占める割合は、CO2が1.6%、温室効果ガス全体が7%であるとドイツのイニシアチブは発表している。SAFは原油からつくる燃料と比べてCO2排出量を約80%削減できることから、国土交通省は2030年時点で国内航空会社による燃料使用量の10%をSAFに置き換える目標を掲げている。

SAF供給において、環境省は未利用の廃棄物の可能性に言及。廃食用油の一部は輸出され燃料化されており、SAF製造を含めた国内資源循環を進め、エネルギーの国産化に取り組むことが重要だとしている。

なお、世界のSAFの需要は今後増えることが予測されるが、現在SAFの供給量は世界のジェット燃料供給量の0.03%に留まっている。その要因の一つが高い製造コスト(従来のジェット燃料の2~16倍)であることから、国産SAF製造者に対するインセンティブの必要性も指摘されている。

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