九州電力株式会社はこのほど、「サーキュラーパーク九州」で実施する主な事業のうち、リソーシング事業(企業や地域の廃棄物の再資源化)について、2023年7月を目途に株式会社ナカダイホールディングスと共同で事業会社を設立すると発表した。
サーキュラーパーク九州の構想実現に向けて事業基盤を早期に確立するべく、当初想定の工程より早く2024年4月の事業開始を目指す。
九州電力株式会社は、所有する旧川内発電所跡地を資源循環拠点とするサーキュラーパーク九州構想について、連携協定締結組織や基本構想の賛同企業・団体と共同で、事業化判断などの検討を進めてきた。連携協定締結組織は、鹿児島県薩摩川内市・株式会社ナカダイホールディングス・学校法人早稲田大学・株式会社鹿児島銀行。賛同企業は、花王株式会社・トヨタ自動車株式会社・日本ロレアル株式会社など。
サーキュラーパーク九州で展開予定の主な取り組みは、リソーシング事業とソリューション事業だ。リソーシング事業では、廃棄物のリサイクルや有効活用の技術・実績を持つ事業者による廃棄物の高レベルでの再資源化を目指す。ソリューション事業では、資源循環に関する企業・社会の中長期的な取り組みに対し、産官学のネットワークを活かした研究開発・実証実験・コンサルティングなどの実施体制を構築して支援することを目指す。
今後、ソリューション事業についても、協定締結組織や賛同企業・団体と連携して検討を進め、順次実施していく。リソーシング事業・ソリューション事業の拡大や新事業展開なども検討し、各事業を段階的に推進していく予定だ。
薩摩川内市は次世代まちづくり・サーキュラー都市を目指し、九州大学大学院芸術工学研究院との共同研究や社会実装を実施する拠点「Satsuma Future Commons」の2023年開設も計画している。Satsuma Future Commonsは、研究施設と関連施設、市民や地域企業とともにサーキュラー都市を探索する市民発イノベーションラボから構成される。
Satsuma Future Commonsの全体図(出典:Satsuma Future Commons 公式HP)
なお、サーキュラーパーク九州事業の一環として、花王株式会社はトイレタリー製品のプラスチック包装容器類回収の実証実験を株式会社ナカダイホールディングスと共同で2023年4月から1年間、薩摩川内市内の約1000世帯を対象に実施する。トイレタリー製品は、洗剤、洗顔料、シャンプーリンス、美容液、ハブラシなど。回収量の確保や回収にかかるコスト削減をはじめとする課題を解決するべく、持続可能な回収枠組みの確立と水平リサイクル実現を目指す。
さまざまな組織と共同で、サーキュラー都市構築を目指して取り組みを進めている薩摩川内市およびサーキュラーパーク九州の今後が注目される。
【プレスリリース】持続可能な社会の構築に向けた資源循環の拠点「サーキュラーパーク九州」の構想実現に向けた事業化を決定しました
【プレスリリース】日用品のプラスチック包装容器水平リサイクル実現に向けて、自治体の資源物回収ルートを活用した新回収スキームの実証実験開始
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*冒頭の画像の出典:株式会社ナカダイホールディングス