薩摩川内市・学校法人早稲田大学・株式会社鹿児島銀行・株式会社ナカダイホールディングス・九州電力株式会社は7月26日、九州電力株式会社が所有する川内発電所跡地を「サーキュラーパーク九州」と位置づけ、連携して具体的な検討を推進するべく協定書を締結した。

5組織は、サーキュラーパーク九州をサーキュラーエコノミーと脱炭素化の推進による持続可能な社会の構築に向けた資源循環の拠点とすることを目指す。サーキュラーパーク九州で展開予定の主な取り組みは、リソーシング事業とソリューション事業だ。リソーシング事業では、廃棄物のリサイクルや有効活用の技術・実績を持つ事業者による廃棄物の高レベルでの再資源化を目指す。ソリューション事業では、資源循環に関する企業・社会の中長期的な取り組みに対し、産官学のネットワークを活かした研究開発・実証実験・コンサルティングなどの実施体制を構築して支援することを目指す。5組織は、以下をはじめとする項目について連携する。

  • 資源循環による資源の有効活用や環境負荷低減などに関すること
  • 資源循環に係る研究開発に関すること
  • サーキュラーエコノミーの実現と地域の脱炭素化に向けた実証実験に関すること
  • その他、持続可能な社会の構築に向けた取り組みや地域活性化などに関すること

各組織の役割は、次のとおり。

  • 薩摩川内市:具体的な検討に対する全体的な支援。資源循環に資する地域の参画を要する各種実証実験や設備設置の許認可手続時の関係機関調整への協力など、事業環境の整備について支援する
  • 学校法人早稲田大学:地域課題解決に向けた研究開発スキームなどの検討。資源循環に関する先進的な研究や社会学分野の研究など、資源循環実現に向けた幅広い研究開発を検討する
  • 株式会社鹿児島銀行:地域ネットワークを活用した地域課題の抽出、人・企業の調整による課題解決の推進の検討。資源循環に資する地域の課題を抽出し、同行の地域ネットワークを活かして、人・企業とサーキュラーパーク九州をつなぐ
  • 株式会社ナカダイホールディングス:廃棄物リサイクルの事業化検討、資源循環スキームの検討。循環資源を動脈産業につなげる研究開発や地域の脱炭素化に資するコンサルティングなど、動静脈産業の連携を目指す
  • 九州電力株式会社:サーキュラーパーク九州の全体総括。地場企業として、地域経済の発展と社会課題解決の両面での貢献を目指す

今後、5組織は2022年度中の「サーキュラーパーク九州」における事業化判断に向けて、産官学の各領域において協働して検討していく意向だ。次世代まちづくり・サーキュラー都市を目指す薩摩川内市はこのほかにも、九州大学大学院芸術工学研究院との共同研究や社会実装を実施する拠点「Satsuma Future Commons」を2023年に開設する予定だ。Satsuma Future Commonsは研究施設と関連施設、市民や地域企業とともにサーキュラー都市を探索する市民発イノベーションラボから構成される。さまざまな組織と共同で、サーキュラー都市構築を目指して取り組みを進めている薩摩川内市の今後が注目される。

【プレスリリース】持続可能な社会の構築に向けた資源循環の拠点「サーキュラーパーク九州」(川内発電所跡地活用)の実現に向けた連携協定を締結しました
【関連記事】多彩なアプローチで、循環型都市への移行を目指す:Circular X 第2回「サーキュラーエコノミーと自治体」イベントレポート