東京大学未来ビジョン研究センターとダイキン工業株式会社はこのほど、産学協創協定のもと「理想の空気を持続するサーキュラーエコノミービジネスモデル連携研究ユニット」(IFI-CEM連携研究ユニット)を設立した。

同協定で両組織は「空気の価値化」を軸に未来技術の創出に向けた共同研究などを通じて、社会課題を解決するイノベーションの創出や、新たなビジネスの創出に取り組んでいる。IFI-CEM連携研究ユニットは、その取り組みの一つとして設立された。同ユニットの概要は以下である。

  • 検討事項:持続可能な都市や住環境に不可欠な「理想の空気」を実現するための空調機器・冷媒・サービスについて。特にサーキュラーエコノミーの可能性
  • 実施事項:今後、サーキュラーエコノミーを実現するために必要な技術・システム・インフラの明確化と実証実験
  • 目標:従来のリニア型の経済システムから脱却した、新たな持続可能な経済モデルの政策を2026年に提言すること

両組織は2021年12月10日、同ユニットの設立記念シンポジウムをオンライン開催した。今後、両組織は協創パートナーを募り、広く知見を集め、世界を牽引する新たな事業モデル構築に貢献していきたいとしている。

ダイキン工業株式会社および東京大学は、これまでも以下のような空調空間のサーキュラーエコノミービジネスモデルを展開してきた。

  • 空調空間のサブスクリプションサービス:ダイキン工業株式会社は、空調空間のサブスクリプションサービス会社「エアアズアサービス株式会社」を三井物産株式会社と共同設立し、2018年1月に本格的にサービスを開始した。顧客は初期導入・電力消費・運用管理の費用と人的労力を削減できるとしている。同サービスは、一般財団法人 省エネルギーセンターが主催する2020年度省エネ大賞を受賞した
  • タンザニアでのエアコンのサブスクリプション事業:2020年6月、ダイキン工業株式会社と東大関連ベンチャーのWASSHAは、エアコンのサブスクリプション事業を実施する新会社を設立し、タンザニアで事業展開している。同協業は、ダイキン工業株式会社が2018年12月に東京大学と締結した産学協創協定のテーマ「ベンチャー企業との協業を通じた新たな価値の社会実装」に取り組むなかで実現した。高い性能・効率・耐久性を持つエアコンを普及させることで、環境負荷削減に貢献できる可能性があるとWASSHAは発表している

上記のサービスは、サーキュラーエコノミーのビジネスモデルの一つであるPaaS(製品のサービス化)だ。製品の長寿命化・回収・修理・再利用を通じて、原材料や製品を長期間維持することが生産者・サービス提供者のインセンティブとなる仕組みである。これまでPaaSを一部共同で展開してきたダイキン工業株式会社と東京大学が、今回のIFI-CEM連携研究ユニット設立により、その取り組みを加速させていくことが期待される。

【プレスリリース】東京大学未来ビジョン研究センター、ダイキン工業「理想の空気を持続するサーキュラーエコノミービジネスモデル連携研究ユニット」設立記念シンポジウムを開催