JFEエンジニアリング株式会社は1月20日、清掃工場で排出される排ガスからCO2を回収して利用するCCU(二酸化炭素回収利用)プロセスの実証実験を開始したことを発表した。2022年末までをめどに、東京都三鷹市と調布市が整備した清掃工場「クリーンプラザふじみ(※1)」において、CO2回収実証試験を行う。

同社が提案するCO2回収技術を清掃工場に適用すると、ごみに含まれるバイオマス分(※2)を合わせ、カーボンネガティブを実現できる。クリーンプラザふじみにおけるCO2吸収方法には、天然ガスプラント建設などで実績のあるアミン吸収法を採用する。また、さらなる高効率回収が期待でき、清掃工場以外の分野での適用も期待される膜分離方式などの開発にも着手している。

CO2回収技術に加え、同社はCO2利用技術であるケミカルリサイクルについても種々の実証試験を実施する予定だ。たとえば、水素と反応させてメタン(CH4)を生成することで、メタンガスとしての燃料利用が可能になる。さらに、さまざまな化学製品の原料として使用されているメタノール(CH3OH)について、貯蔵・輸送・利用に便利な常温・常圧の液体への転換に近年注目が集まっていることから、最新技術開発分野として研究開発を加速する。

CO2有効利用システムのイメージ(出典:JFEエンジニアリング株式会社)

地球温暖化対策に役立つ多数の技術を有する同社は、特に清掃工場のEPC(設計・調達・建設)において、超高効率発電や全自動化などによる温暖化ガス排出抑制技術の確立に注力してきた。今後同社が建設する清掃工場は「CCU-Ready Plant(CCU適用準備施設)」を標準とし、回収したCO2の適切な活用法を地域の状況に合わせて提案するなど、低炭素社会の形成に貢献していく意向だ。

※1:東京都三鷹市と調布市が設立し、一部事務組合であるふじみ衛生組合が整備した清掃工場。JFEエンジニアリング株式会社がEPCを担当し、20年間の運営業務も担っている
※2:ごみに含まれるバイオマス分がカーボンニュートラルとされている

【プレスリリース】JFEエンジニアリング株式会社 清掃工場の排ガスからCO2を回収する実証実験を開始 ~CO2回収提案の標準化(JFE CCU-Ready)~