国土交通省・経済産業省・環境省は8月23日、「脱炭素社会に向けた住宅・建築物における省エネ対策等のあり方・進め方」を公表した。今後、各省は取り組みを具体化していく意向だ。

3省は、2021年4月から「脱炭素社会に向けた住宅・建築物の省エネ対策等のあり方検討会」を6回開催し、今回のとりまとめに至った。とりまとめの概要は、以下である。

2030年・2050年に目指すべき住宅・建築物のあり方

省エネ性能の確保・向上による省エネルギーを徹底し、再生可能エネルギーの導入を拡大する。2030年・2050年に目指すべき住宅・建築物のあり方は、下記である。

  • 2030年:新築される住宅・建築物についてZEHZEB基準の水準の省エネ性能が確保され、新築戸建住宅の6割に太陽光発電設備が導入されていること
  • 2050年:ストック平均でZEH・ZEB基準の水準の省エネ性能が確保され、導入が合理的な住宅・建築物において太陽光発電設備などの再生可能エネルギーの導入が一般的となること

2050年カーボンニュートラルの実現に向けた取り組みの進め方

住宅・建築物における省エネ対策の強化、再生可能エネルギーの導入拡大、木材の利用拡大を取り組みの進め方の主要3項目として定め、その内容として下記を発表した。

1.家庭・業務部門(住宅・建築物における省エネ対策の強化)
  • 2025年度:住宅を含めた省エネ基準への適合義務化
  • 2030年まで:省エネ基準をZEH・ZEB基準の水準の省エネ性能に引き上げ・適合義務化
2.エネルギー転換部門(再生可能エネルギーの導入拡大)

太陽光発電や太陽熱・地中熱の利用、バイオマスの活用など、地域に適する再生可能エネルギーや未利用エネルギーの利用拡大を図る。将来における設置義務化も選択肢の一つとしてあらゆる手段を検討し、太陽光発電設備の設置促進の取り組みを進める。

3.吸収源対策(木材の利用拡大)

木造建築物などに関する建築基準の合理化、公共・民間の建築物における木造化・木質化の取り組み、木材の安定的確保実現に向けた体制整備の推進、地域材活用の炭素削減効果を評価可能なLCCM住宅(ライフサイクルカーボンマイナス住宅)・建築物の普及拡大を実施する。

3省は、関係事業者などによる同内容を前提とした積極的な取り組みが展開されることを期待するとしている。取り組みの進捗や技術開発の進展などを踏まえ、2050年に向けた目標や取り組み内容についての見直しが必要であると3省は考えており、ビジョンの早期実現を目指した継続的努力を求めていることを公表した。

【プレスリリース】 2050年カーボンニュートラルの実現に向けた住宅・建築物の対策を取りまとめました