ENEOSと三菱ケミカルは7月3日、共同で建設を進めていたプラスチック油化のケミカルリサイクル設備が三菱ケミカル茨城事業所(茨城県神栖市)で完成し、7月2日に竣工式を開催したと発表した。
本設備では、外部から調達した使用済みプラスチックを油化処理し、リサイクル生成油を製造する。この生成油は、ENEOSの石油精製装置と三菱ケミカルが持つ石油化学の基礎原料を製造する装置「ナフサクラッカー」の原料として使用され、石油製品や各種化学品、プラスチックへと再製品化される。これにより、石油化学コンビナート内で使用済みプラスチックを再び化学原料に戻す循環ループを構築する。

このプロジェクトの核となるのが、英国のMura Technology社が開発した「超臨界水熱分解技術」だ。これは、高温・高圧によって液体と気体の中間の性質を持つ「超臨界水」を溶媒として利用し、プラスチックを化学的に分解する技術である。従来のメカニカルリサイクルでは処理が困難だった複合素材や汚れたプラスチックも原料化できる可能性があり、リサイクルの幅を広げる技術として注目されている。
また、本設備はサプライチェーンにおける持続可能性を担保する国際的な認証制度「ISCC PLUS認証」の取得を予定している。この認証を取得することで、リサイクル由来の原料を使用した製品に環境価値を付与し、トレーサビリティを確保した上で市場に供給することが可能になる。
両社は2021年7月にこの共同事業の実施を発表しており、今回の設備竣工によって、カーボンニュートラルと循環型社会の実現に向けた取り組みを本格化させる。
【プレスリリース】ENEOSと三菱ケミカル、プラスチック油化の開始に向けてケミカルリサイクル設備を竣工 ~サーキュラーエコノミー推進のため、ISCC PLUS認証を取得予定~
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(記事内画像はプレスリリースより)
