株式会社アシックスはこのほど、温室効果ガス排出量を低く抑えたスニーカー「GEL-LYTE III CM 1.95(ゲルライトスリーシーエム1.95)」を開発した。発売は2023年を予定している。

同スニーカーの温室効果ガス排出量は二酸化炭素換算で1.95kgで、現時点で温室効果ガス排出量が公表されているスニーカーのなかで最少(株式会社アシックス調べ)となる。同社の製品ライフサイクルアセスメントの計算法と排出量は、2022年8月にSGS(Société Générale de Surveillance)ジャパン株式会社によりISO規格(ISO14067)に適合していることが認められた。環境負荷に関する同スニーカーの特徴について、株式会社アシックスは以下を発表した。

ミッドソールと中敷に使用しているフォームに、サトウキビなどを原料とした複数のバイオ由来ポリマーを配合することで、実質温室効果ガス排出をマイナスに保つことに成功した。

主要なアッパーと中敷には、環境負荷の低い技法「ソリューションダイ」で染色したリサイクルポリエステルを使用。株式会社アシックスは、2030年までに100%リサイクルポリエステルに切り替える目標を掲げている。アッパーの補強パーツには、廃棄ロスの少ないテープ形状パーツを必要量のみ裁断し、折り返すなどして効果的に配置することで、材料廃棄を最小限に抑えた。製造工程では再生可能エネルギーを使用し、バイオ燃料を使った輸送や委託先工場でのリサイクル施策なども実施した。同シューズは環境負荷が低いだけでなく、高品質でフィット感やサポート性があり、履き心地が良いことを株式会社アシックスは公表している。

同取り組みは、2010年に株式会社アシックスと米マサチューセッツ工科大学が開始した共同研究で開始された。共同研究の課題は、製品ライフサイクルから排出される温室効果ガス排出量の測定と、温室効果ガス削減方法に関する分析および改善策の検討であった。株式会社アシックスは同研究で得た知見をもとに研究を重ね、製品ライフサイクルにおける材料調達と製造・輸送・使用・廃棄の4工程で温室効果ガス排出量の削減策を特定して改善し、同スニーカーを製造した。

このほかにも、同社は繊維廃棄物でできたリサイクル糸を採用したシューズの販売を2021年から開始するなど、同社が掲げる目標「2050年までの温室効果ガス排出量実質ゼロ」実現に向けた取り組みを進めている。

【プレスリリース】1.95kg CO₂eのカーボンフットプリントを実現 温室効果ガス排出量が最少のスニーカーを開発
【関連記事】アディダスとオールバーズ、カーボンフットプリント3kg以下のシューズを発表
【関連記事】アシックス、繊維廃棄物でできたリサイクル糸採用シューズ「Earth Day Pack」を発売
【関連記事】欧州委、持続可能な製品の標準化、持続可能な循環型繊維戦略と建設資材規制改正案を公表
*冒頭の画像の出典:株式会社アシックス