東京都環境局は5月8日、建設分野におけるサーキュラーエコノミーへの移行を促進するため、建設再生材の利用に関する技術者向け研修動画を作成し、公開した。この動画は、都が発注する工事で進めている環境負荷の少ない再生骨材コンクリートの使用といった取り組みを、民間工事にも拡大していくことを目的としている。

公開された研修動画は、「再生骨材の利用促進に向けた取組」「残コン・戻りコン削減に向けた取組」「建設泥土の再生利用促進に向けた取組」「建築用板ガラスのリサイクルに向けた取組」など、具体的なテーマごとに全5パートで構成される。講師には、国土交通省の「建設リサイクル推進施策検討小委員会」で委員長を務めた京都大学大学院の勝見武教授や、サーキュラーコンクリートの開発に従事する明治大学理工学部建築学科の小山明男専任教授といった、同分野の専門家が名を連ねている。

各動画では、それぞれの再生材の利用促進に向けた取り組みや技術的なポイントが分かりやすく説明されており、建設工事の受注者や現場の技術者が社内研修などで活用することを推奨している。Part4の「建設泥土の再生利用促進に向けた取組」の講義後には、(公財)産業廃棄物処理事業振興財団による「再生品の有価物該当性に係る認証審査」の説明も含まれる。

東京都は、建設分野での環境負荷低減と資源循環の推進を重要な課題と認識し、これまでも都発注工事において再生材の利用を推進してきた。今回の研修動画の作成と公開は、これらの先進的な取り組みを公共工事だけでなく民間工事にも波及させ、建設業界全体のサーキュラーエコノミーへの移行を一層加速させる狙いだ。動画を通じて現場レベルでの理解を深め、再生材の積極的な活用を促すことが期待される。

建設廃棄物は国内の産業廃棄物において大きな割合を占めており、その適正な処理と再資源化は持続可能な社会構築に向けた喫緊の課題である。東京都による今回の取り組みは、専門的な知見を分かりやすい形で提供することで、現場技術者の意識向上と具体的な行動変容を後押しするものだ。

【プレスリリース】建設分野のサーキュラーエコノミー移行を目指して 建設再生材利用についての技術者向け研修動画を作成しました
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