株式会社リコーが開発した植物由来の新素材「PLAiR(プレアー)」の成型加工用シートを使用して作った容器が、株式会社イトーヨーカ堂の実証実験に採用された。プレアーは、自然由来99%の素材でありながら、リコー社独自の発泡制御技術で開発した成型加工用シートによって、発泡による空気層を含むため断熱性に優れる。結晶化の度合いを制御することで耐熱性もあり、従来の容器と同じように電子レンジの加熱も可能という。

採用されたのはカツ丼用の容器で、実証実験として11月16日から12月14日までの29日間、「イトーヨーカドー横浜別所店」の店頭で販売中。店頭での販売商品は「まごころたまごのロースかつ重」で、加熱する場合は500Wの電力で1分。プレアーを使用した容器が店頭に並ぶのは今回が初めて。

イトーヨーカ堂では、セブン&アイグループの環境宣言「GREEN CHALLENGE 2050」で4つのテーマ「CO2排出量削減」「プラスチック対策」「食品ロス・食品リサイクル対策」「持続可能な調達」を掲げ、2030年・2050年の目標達成に向けて取り組んでいる。化石資源由来の素材を削減した容器に変更する販売実験は、その活動の一環。

リコーは大手情報機器メーカーだが、「脱炭素・循環型社会の実現」をマテリアリティ(重要社会課題)として、化石資源由来プラスチックから代替素材の開発に着手。植物由来のPLA(ポリ乳酸)を利用したプレアーを完成させ、2020年から市場開発を開始した。

植物由来のPLAを主成分として使用しているため、例えば焼却処理をした場合、CO2を排出するが、原料の植物は育つ過程でCO2を吸収するため、環境負荷の少ない循環を生み出すことができる。また、一定の環境下で水とCO2に分解される「コンポスタブル」という特性を持つ。

さらに、独自の「超臨界CO2発泡制御技術」で発泡させることで、柔軟性と強度を調整し、軽さと強さを実現。様々な用途に適応できる。また、発泡させることで、少ない材料でシートを作ることができるため、省資源性にも優れるとしている。

これまでは緩衝材や梱包材などの用途を検証してきたが、熱い物を入れても手で持つことができ、保冷、保温にも適しているため、実験で食品用の容器としての実用性を実証することとなった。

プレアーの成型加工シートの開発と食品容器への加工、供給では、小売業界向けの容器や食材などの原材料供給に強みを持つベンダーサービス株式会社、バイオプラスチックを活用した食品容器の開発・製造を得意とするリスパック株式会社が共創パートナーとして検討を進めていた。

【プレスリリース】植物由来の新素材「PLAiR」製食品容器がイトーヨーカドーの実証実験に採用
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*冒頭の画像は、今回採用されたかつ丼容器(記事中の画像の出典:株式会社リコー)