環境省は11月8日、「グリーンボンド及びサステナビリティ・リンク・ボンドガイドライン2024年版」と「グリーンローン及びサステナビリティ・リンク・ローンガイドライン2024年版」を公表した。ガイドラインの改定は、「グリーンファイナンスに関する検討会」を通して行われ、国内のサステナブルファイナンス市場の健全な拡大を目的としている。
改定のポイントは主に3点ある。まず、ガイドラインの構成を変更した点だ。ガイドラインの策定当時と比べてグリーンファイナンス市場が成熟してきたこと、また国際的な潮流を捉え速やかに国際規則の改訂を反映できるよう、国際原則と国内向けの解説部分を整理した。
次に、国際原則の改訂が反映された点だ。具体的には、ローン・マーケット・アソシエーション(LMA)によるグリーンローンとサステナビリティ・リンク・ローンの原則改訂(2023年2月)、および、国際資本市場協会(ICMA)によるサステナビリティ・リンク・ボンド原則の改訂(2024年6月)が含まれており、改訂部分について国内向け解説が追加された。
最後に、市場の現状を踏まえた解説の追加が行われている。サステナビリティ・リンク・ローンについて、金融機関が自らの資金調達のためではなく、顧客向けに取扱う金融商品として策定するSLLフレームワークによる調達が多い現状や、「借り手のビジネス全体に関連性がある」「中核的でマテリアルである」「戦略的に大きな意義がある」等とは言いにくいKPI設定が見られる状況などを踏まえ、国内向けの解説が追加された。
これらのガイドライン改定案に対して、環境省はパブリックコメントを募集。寄せられた意見の概要と回答についても発表している。
環境省はこれまでにも、国内外の動向に合わせてグリーンボンドガイドラインの策定や改訂を行っており、今後も継続的にガイドラインの見直しを進めていく方針である。
【プレスリリース】「グリーンボンド及びサステナビリティ・リンク・ボンドガイドライン2024年版」、「グリーンローン及びサステナビリティ・リンク・ローンガイドライン2024年版」の公表について
【参照記事】グリーンファイナンスに関するガイドライン改定概要(2024年11月)
【関連記事】環境省、マスバランス方式に関する基本的な考え方を発表
【関連記事】環境省、「持続可能な窒素管理に関する行動計画」を策定
【関連記事】欧州委、サステナブルファイナンス基盤の構築・強化を目指す政策パッケージを提案