日置電機株式会社(HIOKI)は8月20日、サーキュラーエコノミーの実現に向けた取り組みとして、主力製品であるACクランプメータにプラスチック再生材の利用を開始したと発表した。製造工程で発生する端材を再利用することで、資源の有効活用と温室効果ガス排出量の削減を目指す。
今回の取り組みでは、ACクランプメータ「3280-10F」をはじめとする3280シリーズの製造において、再生材を最大20%混合したプラスチック成型品を使用する。この再生材は、製品の筐体などに広く用いられる、耐衝撃性や耐熱性に優れたPC/ABS樹脂(ポリカーボネートとABS樹脂の混合物)の製造過程で発生した端材を再度ペレット化したものだ。HIOKIによると、これにより年間約850kgの材料削減と廃棄物削減につながる。さらに、産業技術総合研究所(AIST)のLCAデータベース「IDEA」を用いて算出した結果、年間約4.3トンの二酸化炭素排出削減が見込まれるという。
この施策は、消費者の手に渡る前に製造工程で発生する廃棄物をリサイクルする「プレコンシューマーリサイクル」の一環だ。HIOKIは2025年を「サーキュラーエコノミー元年」と位置付けており、サプライチェーン全体での排出量を対象とする「スコープ3」において2035年までにカーボンニュートラルを達成するという目標を掲げている。今回の再生材利用は、原材料調達における環境負荷を低減し、この目標達成に貢献するものだ。
HIOKIは、品質評価試験を経て今回の正式リリースに至ったとしており、今後はこの取り組みを他の製品へも展開するため、研究開発部門において環境配慮型設計をさらに加速させていく計画だ。
【プレスリリース】プラスチック再生材の利用を開始 サーキュラーエコノミー実現に向けた新たな取り組み
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