スウェーデンに本拠を置くアパレル大手H&Mは、再利用可能な紙製の包装システムをグループ傘下の複数ブランドで導入した。世界中でオンラインショッピングの利用が増加したことに伴うプラスチック廃棄物量の増加を受け、より持続可能な包装を目指す。
2020年に起こったパンデミックの影響でオンラインでの買い物は消費行動の定番になったとはいえ、その配送に伴う包装の無駄も増えている。そのほとんどは、最終的には埋め立て地や海に行きつくプラスチックであり、地球環境に非常に深刻な影響を与えている。
ファッション業界では、プラスチックが最大の課題の1つとなっている。 プラスチックは、ポリエステルなどの合成素材として使用されるだけでなく、ハンガーやタグ、使い捨てのショッピングバッグにも使用され、特に包装の一部にプラスチックが利用されている場合、他に差し替えることが非常に難しい。 包装がごみになることを防ぎ、且つ最高品質の製品の配送を実現することが急務である。
お客様と環境の両方にとってよりよい包装を導入するために
H&Mグループは独自の方針に基づき、認証された紙でできたバッグを使用したリサイクル可能な包装システムを開発し、オランダ・英国・スウェーデン・中国・ロシア・オーストラリアの配送センターから顧客に届ける荷物において、より持続可能な包装方法を試した。
顧客に届いた荷物のうち、製品以外の部分の多くは届いた時点で廃棄される。新しい包装システムの目的は、その廃棄を生み出すリスクを減らすことにある。取り組みの結果、期限が切れるメッセージをバッグに掲載しないようにし、バッグのデザインを洗練させることにつながった。
「お客様と環境の両方にとってよりよい包装を導入しています。 サプライチェーン全体の物流においてプラスチックを置き換え続けていく必要があり、今はまだ改善の途中です。 しかし、新しい包装方法の導入により、外装のプラスチックを紙に置き換えるところまで成功しました。私たちはお客様のご意見に基づいた改善を行っており、より持続可能な包装方法で商品が届くことにお客様は満足してくれています。 同時に、私たちは事業とバリューチェーン全体でプラスチックの削減に取り組んでおり、この包装方法をすべてのブランドに展開していきます。」H&Mグループの新包装システムの責任者であるHanna Lumikero氏は述べている。
これまでのところ新しい包装システムは、H&M グループ傘下のブランドであるCOS・ARKET・Monki・Weekdayにて導入されており、2021年の初めには、同じく傘下のブランドである&Other Storiesもリサイクル可能な紙の包装を導入する。
包装に関する新しい解決策は、H&Mグループにおける包装を25%削減し、遅くとも2025年までに再利用可能、リサイクル可能、または堆肥化可能な包装方法を設計するなど、包装におけるサーキュラーエコノミー戦略の目標達成を後押しする。 目標は、エレン・マッカーサー財団のニュープラスチックエコノミーグローバルコミットメント、ファッション協定、CanopyによるPack4Goodイニシアティブとも一致しており、H&Mグループは、認証された紙のバッグに置き換え、ブランドストアのレジ袋の大半を無くすことに成功した。他の施策も含め、2019年の間にプラスチック包装の4.7%、1,000トンを超えるプラスチックの削減に貢献したことになり、今回の新しい包装方法の導入によってさらなる目標達成に近づく。