アメリカ、カリフォルニアに本社を置く半導体素子メーカー、インテル(Intel Corporation)が5月14日、年次企業責任レポートを発表した。このレポートでは、企業責任におけるインテルの長年にわたる透明性を明らかにしているほか、温室効果ガス排出量の削減、ローカルな土地での水の貯蓄、世界の労働間での男女平等賃金の達成など、過去10年で達成した実績に基づいて作成されている。

合わせて、次の10年に向けた戦略が描かれた new 2030 strategy and goals(新2030年戦略と目標)も提示した。その戦略の例を挙げると、水、再生可能エネルギーなどといった資源の有効活用や、土壌へ廃棄ゼロ、女性やマイノリティの社会進出、人権問題の影響などに尽力することを提言している。

そして今回インテルは初めて、グローバルな課題を解決すべく、業界を超えた他企業や団体と協働で取り組む姿勢を示した。Intel CEOのBob Swan氏は「世界中で起こる気候変動、デジタル格差、日常生活を変えるパンデミックなどは私たちの知らないところで起こっている。これらを解決するには、皆で力を合わせることが必要になるだろう。」と話す。

さらにインテルは、今後10年間に3つの国際的な課題を解決するため、産業や政府、コミュニティと携わることを明らかにした。具体的な課題として次の3つのように示している。

テクノロジーで健康と安全に革命を

インテルは病気の治療法の促進、健康向上をすべく、ヘルスケア、生命科学、政府などといった機関と協力し、製造、輸送、医療機関の技術を応用する。これらの取り組みは最近発表された Pandemic Response Technology Initiatives (パンデミック対応技術構想) でも確認することができる。これは、より精度の高い診療や新型コロナウイルスへの対応、そして将来来るべきパンデミックへの備えのため、クラウドやAI、高性能技術を応用した構想となっている。

また、インテルは自動運転の安全性という共通のゴールに向かって世界各国の企業と協働するとしている。多様な業界や政府と共に新たなテクノロジーや基準を生み出し、自動運転によって今までよりも多くの人命を守ることができる社会を目指している。

デジタルの普及し、より多くの人がテクノロジーへのアクセス機会を提供

インテルは他企業と協力して、共通した測定基準を用い、女性やマイノリティによる管理職や技術職の増加や賃金平等へ尽力する。そしてデジタル格差の解消や、未来の仕事に必要とされるテクノロジー技術へのアクセス拡大のために政府やコミュニティとの提携すると述べた。他にも、インテルは2030年までに30カの国の政府と世界中の3万の機関と協力し、3000万人以上へAI技術のトレーニング機会を提供するよう取り組んでいる。

気候変動への取り組みとしてカーボンニュートラルの達成

インテルは最も持続可能でエネルギー効率の良い、カーボンニュートラルコンピュータ開発のためにコンピュータ産業と働きかける。ここでは設計や使用過程において、炭素や水、廃棄物の排出を削減することを目的としている。具体的には、センサー技術による電力使用量の削減、リサイクル可能な梱包材の素材を扱うベンダーとパートナーシップを組み、長期的でエネルギー効率の高い構造の開発といった内容を含んだサステナビリティロードマップを探求している。

 

テクノロジーは私たちが日々頼りにするコミュニティや政府、サービスの間で重要な役割を果たしている。Swan氏は「インテルを始めとするテクノロジー主導の業界では研究開発や創作性、専門技術、影響力を活用してこれらの重要な問題に協力する機会がある。地球上の人々の生活を豊かにし、世界を変えるようなテクノロジーを作ることはわたしたちの掲げる目的の一つだ。」と話す。

インテルは、現代の問題に立ち向かい、未来の課題解決に必要なテクノロジーや関係を作るための能力をあわせて活用していくとしている。テクノロジーの普及が進む世界で、その技術をどう活用し、さまざまな課題に立ち向かっていくかが問われるだろう。

【参照サイト】Intel Launches First Global Challenges, Marks a New Era of Shared Corporate Responsibility