株式会社伊藤園(以下、伊藤園)は、同社独自の「茶殻リサイクルシステム」を活用して茶殻をアップサイクルした「茶殻染色剤」を2021年6月に開発し、今年度中に加工工程で茶殻染色剤を使用した製品を市場展開すると発表した。
緑茶飲料の製造時に排出される茶殻を原料とする同茶殻染色剤は、生地の加工工程に利用される。伊藤園は同染色剤の特徴を以下のように公表した。
- 茶殻染色剤で加工した製品は、茶殻に含まれる緑茶成分のカテキンにより、抗菌・消臭効果を備える
- 自然由来の茶殻が原料であるため、安心して身に付けられる
- 緑茶成分に含まれるタンニン(カテキンなど)により、革製品の製造で不可欠な鞣(なめ)し工程において原料皮の防腐性を高め、変形を抑える鞣剤(じゅうざい)としても活用できる
今後、皮革卸売業の富田興業株式会社に茶殻染色剤を供給する。同社のブランドレザー「LEZZA BOTANICA(レッザ ボタニカⓇ)※」からベルト・鞄・靴などの革製品を今年中に展開する予定だ。
日本茶飲料の販売拡大に伴い、製造過程で排出される茶殻の量が年々増加していることから、伊藤園は2000年より茶殻などの飲料残さを工業製品などに有効利用する研究開発を推進してきた。茶殻リサイクル製品は、畳・建材・樹脂製品・ペットボトル用段ボールなど約100種類に及び、今回の茶殻染色剤もその一つとなる。2020年10月、伊藤園はローヴァーズ株式会社の運営施設「ローヴァーズドリームフィールド」に茶殻リサイクル製品である人工芝用充填材と茶殻ベンチを提供すると発表した。今後も、茶殻を資源に換えるといったお茶の持つ可能性に関する同社の研究開発が期待される。
※ レッザ ボタニカ:皮革づくりの一工程である皮の鞣しや染色に、植物由来の副産物を再活用するプロジェクトで誕生した素材。「米のもみ殻」やワイン醸造後にできる「ぶどうの搾りかす」など、本来産業廃棄物になってしまうものを有効活用でき、植物由来の皮を鞣すことで、水質汚染を減らして環境負荷を軽減する。この取り組みが高く評価され、2020年度グッドデザイン賞(主催:公益財団法人日本デザイン振興会)を受賞した。株式会社クロスロードは、レッザ ボタニカを使用した婦人靴を販売している(2021年9月16日時点)。
【プレスリリース】お茶由来の「茶殻染色剤」を開発
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*冒頭の画像の出典:株式会社伊藤園