日本環境設計株式会社はこのほど、フランスに本部を置くエネルギー、輸送、環境の分野の主要な研究・研修機関であるIFP Energies nouvellesと、IFPのグループ企業Axensと連携し、使用済みPETのリサイクルに向けて共同で技術開発および事業化を開始すると発表した。3社がこれまでに培ってきた工場のオペレーション、エンジニアリング、技術開発における能力を結集する。

3社はペットボトルやポリエステル繊維、そしてフィルムなどのポリエチレンテレフタレート(PET)素材でつくられた使用済み製品のリサイクルを実現する高度な技術「モノマーリサイクル」について、プロセスの開発、実証、そして商業化を目的とした共同開発及び事業提携契約を締結。共同開発する新たなプロセス「Rewind™PET」は、PETのモノマーである「ビス(2-ヒドロキシエチル)テレフタレート(BHET)」を経由するPET解重合工程を最適化し、使用済みPET製品に含まれるあらゆる不純物を除去する精製工程と組み合わせ、高純度なBHETを得られる。

このプロセスを通して精製された高純度BHETは既存の重合設備において、繊維から食品容器向けまで多様なPET製品の原料として用いることができる。今回の提携は、日仏双方のPETリサイクル分野に実績に基づくもの。日本環境設計の子会社であるペットリファインテクノロジー(PRT、年間2万2千トン)は、世界に先駆けて使用済みPETボトルのケミカルリサイクル工場を商用運転している。また、2018年から自社の北九州響灘工場(KHP)で年間2千トンの生産規模を持つポリエステル繊維に特化した「服から服をつくる」ことを可能にした工場の稼働実績も持つ。一方、IFPENとAxensは過去6年間、色付きや濁りのあるペットボトルを食品容器向けの透明なPET樹脂にリサイクル可能なプロセスの開発に尽力してきた。

今後は3社がそれぞれ培ってきた工場のオペレーション、エンジニアリング、技術開発における能力を結集、KHPを活用しながら様々なPET原料に対する適応性に優れた共同プロセスのさらなる開発と実証を加速していく。また、フランスのIFPEN設備および実証プラントによる開発を同時に進め、22年末までに世界市場を対象にRewind™PETプロセスをAxensによりライセンス事業化を目標に掲げる。併せて、PET製容器包装やポリエステル繊維を扱う企業に働きかけていく方針。

日本環境設計の髙尾正樹社長は、サステナブルな再生製品を作り出す同社の「BRING technology」の重要なプロセスの1つとしてRewind™PETを位置づけており、「KHPとPRTの工場運営経験を活かし、Rewind™PETのプロセスを採用するライセンシーを支援、新たな事業プロジェクトの開発に貢献していく。日仏3社の今回のパートナーシップは、サーキュラーエコノミーにおける両国の重要な成果を象徴するものとなるだろう」と期待する。

【関連サイト】日本環境設計株式会社「Axens、IFPEN、日本環境設計は使用済みPETのリサイクルに向けて共同で技術開発及び事業化を開始します」

※本記事は、ハーチ株式会社が運営する「HEDGE GUIDE」からの転載記事となります。