岸田文雄首相はこのほど、2023年9月に「産官学サーキュラーエコノミーパートナーシップ」を立ち上げると発表した。
サーキュラーエコノミー加速に向けて、地方を中心とした取り組みを促進していきたいとしている。
首相は今回、富山県を訪問し、新幹線の使用済みアルミを新幹線の部材にリサイクルする施設を視察。こうした高度な技術を活かした地域密着型の資源循環の取り組みは日本が強みとする分野で、地方活性化の観点からもサーキュラーエコノミーの視点は重要であると述べた。
資源循環を地方活性化の起爆剤とすべく、今後関係者を官邸に招き、サーキュラーエコノミーに関して対話していきたい考えだ。
サーキュラーエコノミー移行加速を目指し、経済産業省は2023年3月に「成長志向型の資源自律経済戦略」を策定した。同戦略の実現に向けて、産官学サーキュラーエコノミーパートナーシップの立ち上げと、動静脈連携加速に向けた制度整備の検討開始を計画していた。
日本政府は、サーキュラーエコノミー移行に向けては、個社ごとの取り組みだけでは経済合理性を確保できず、関係主体の連携による協調領域の拡張が必須だとみている。そのため、産官学サーキュラーエコノミーパートナーシップには、自治体、大学、企業・業界団体、関係機関・関係団体などが参画。ビジョン・ロードマップを策定するとともに、サーキュラーエコノミー情報流通プラットフォーム構築について検討する。その他の個別課題(標準化、マーケティング、国際連携、技術検討など)についても順次検討していく予定だ。
サーキュラーエコノミー関連市場は、国内外での大幅拡大が見込まれており、世界全体では2030年に4.5兆ドル、2050年に25兆ドルに拡大するとアクセンチュアは予測している。日本国内では、2020年に50兆円だったサーキュラーエコノミー関連市場を2030年に80兆円、2050年に120兆円に拡大することを目指している。
【参照記事】富山県訪問等についての会見
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