ライオン株式会社は11月4日、経済産業省が進める「令和7年度 広域自治体における資源循環システム構築の実証事業」に参画すると発表した。大都市圏を中心に、再生プラスチックをはじめとする再生材の大規模供給体制を検証し、循環型の資源利用モデルの構築を目指す。

同社はプラスチック使用量削減やリサイクル素材の活用を重点課題に掲げており、今回の参画はサーキュラーエコノミー推進の一環となる。日本では資源制約への対応として循環経済への移行が求められる一方、再生材の供給拡大や廃棄物の分別・回収・再資源化の仕組みづくりが課題となっている。

実証事業では、株式会社三菱総合研究所が全体を統括し、大都市圏・地方都市・中小地域といった各地域の特性に応じた資源循環モデルの構築を検証する。大都市圏では、家庭や事業所から大量に発生するプラスチックごみに対し、既存または計画中のリサイクル施設と連携し、効率的な回収・選別・再資源化のルートを設計する。

ライオンはこのうち、大都市圏の実証に参加し、ケミカルリサイクルに使用する廃プラスチックを提供する。提供される廃プラスチックは同社本社ビルから排出され、従業員が分別したもの。自社由来の廃棄物を資源として循環させる取り組みも強化する方針だ。

また、地方都市では岡山県や茨城県の複数自治体を対象に、家庭から排出されるプラスチックの集約と高度選別を検証し、高品質な再生材の製造を目指す。中小地域では鹿児島県薩摩川内市などで、住民参加型の分別排出を基盤とする広域回収モデルの構築を検討する。

実証事業は来年2月まで行われ、その成果をもとに循環型ビジネスモデルとしての社会実装と全国展開を目指すとしている。

【参照情報】令和7年度資源自律経済確立産官学連携加速化事業費(広域自治体における資源循環システムの構築に向けた実証事業)に係る委託先の採択結果について(経済産業省)
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