経済産業省は8月26日、令和7年度「資源自律経済確立産官学連携加速化事業費(高度な再資源化が困難な領域における再生資源の用途拡大に向けた実証事業)」の委託先の公募を開始した。この事業は、再資源化が困難な廃棄物の効率的な再資源化システムを検証し、再生材の用途拡大を目指すものだ。
世界では、資源制約や環境問題への対応として、大量生産・消費・廃棄の「線形経済」から、資源の効率的・循環的な利用と付加価値の最大化を図る「循環経済(サーキュラーエコノミー)」への移行が進んでいる。日本政府も、2020年5月に「循環経済ビジョン2020」を、2023年3月に「成長志向型の資源自律経済戦略」を策定し、2025年5月には再生材の利用義務化等を措置する改正資源有効利用促進法が成立した。しかし、国内におけるサーキュラーエコノミーへの取り組みは本格化の途上にあり、カーボンニュートラルへの機運の高まりや、ウクライナ情勢による資源エネルギー供給不安、欧州でのサーキュラーエコノミー実現に向けた法的枠組み強化の動きなどを踏まえ、資源循環経済政策のさらなる拡充と加速化が急務となっている。
本事業では、現状で熱回収や単純焼却されている再資源化困難な廃棄物の再資源化率向上を目指し、特に廃プラスチック等の効率的な再資源化システムの検証を行う。具体的には、建設混合廃棄物由来の再生プラスチック活用促進に向けた検討と実証、ステークホルダー連携によるリサイクル工程の実施、試験運用による品質・コスト変動要因の実証分析、課題分析と再資源化率向上に向けた指針策定、そして検討と実証による効果の取りまとめを行う。
公募期間は令和7年8月26日から同年9月17日までだ。
経済産業省は、本事業を通じて、日本国内における動脈事業者が利用可能な再生プラスチックをはじめとする再生材の供給量拡大を目指している。高度な再資源化が困難な廃棄物の再資源化における実証を行い、再生材利活用におけるボトルネックを特定し、その解消に必要な施策の分析と産官学連携による供給量拡大に向けた方策の検討等を進める。
この取り組みは、欧州におけるELV(使用済み自動車)規則など国際的な規制動向への対応も視野に入れており、動脈事業者が利用可能な品質と経済性を確保しながら再生材利用量の拡大を図ることが求められている。
【プレスリリース】令和7年度「資源自律経済確立産官学連携加速化事業費(高度な再資源化が困難な領域における再生資源の用途拡大に向けた実証事業)」に係る委託先の公募について
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