米マイクロソフトはこのほど、2024年環境サステナビリティレポートを公開した。

同社は2020年、2030年までにカーボンネガティブ、ウォーターポジティブ、廃棄物ゼロを実現し、使用面積以上の土地を保護するという公約を発表。今回のレポートでは、2023年度の成果と2020年に開始した取り組みの進捗を報告している。報告の概要は以下のとおり。

進捗が順調な4つの領域では、同社のサステナビリティ事業の枠を超えて世界的な影響を与えうる次のような進展があった。

  • 事業活動による直接的な排出量(スコープ1と2)の削減
  • 炭素除去の推進
  • 廃棄物を最低限に抑えるために循環性を高めた設計とクラウドハードウェアのリユース
  • 生物多様性の向上と、マイクロソフトが使用している面積以上の土地の保護

進捗が遅れている2つの領域では、次に取り組む。

  • 間接的な排出量(スコープ3)の削減
  • 水消費量の削減、データセンター運営による水消費量を上回る水の補充

公約に掲げた項目における2023年度の進捗は、下記である。

カーボンネガティブ

2023年、再生可能エネルギー資産の契約済みポートフォリオを19.8ギガワット以上に増やし(21カ国でのプロジェクトを含む)、今後15年間での炭素約500万トンの除去に契約した。

2023年、スコープ1と2の排出量は2020年比で6.3%減少、スコープ3は30.9%増加し、スコープ1~3全体で29.1%増加した。

ウォーターポジティブ

2023年、水利用の目標を達成し、150万人以上に清潔な水と衛生設備を提供した。淡水資源への依存低減に貢献するべく、今後新たなデータセンターをAIの負荷に耐えられる設計で最適化し、冷却に使用する水の消費量をゼロにすることを目指す。

廃棄物ゼロ

2023年度、クラウドハードウェア全体のサーバーと部品のリユースおよびリサイクル率89.4%を達成した。マイクロソフト所有のデータセンターとキャンパス全体で1.8万トン以上の廃棄物を埋立や焼却から回避し、同社製品の梱包材に含まれる使い捨てプラスチックの量を2.7%に削減した。

エコシステムの保護

2023年度時点で、同社が保護した土地面積は目標値を40%以上上回った。目標値の1.1万エーカーに対し、1.5万エーカーの土地が永久保護区域として法的に指定されている。

現在、データセンター周辺で環境再生型設計のソリューションを採用し、地域の生物多様性・雨水管理の改善・気候変動へのレジリエンス支援を強化している。

顧客のサステナビリティ

「Microsoft Cloud for Sustainability」や「Microsoft Sustainability Manager」などのソリューションで、サステナビリティに関する洞察を顧客に提供するとともに、サステナビリティ管理を支援。加えて、「Planetary Computer」を通じて、研究者・政府・企業・個人に地球環境データを提供している。

世界のサステナビリティ

同社におけるサステナビリティ向上には世界との関わりが必須であるため、革新的なソリューションに投資し、研究を発展させ、大規模な進歩につながる政策を支持する。同社の気候イノベーション基金は、企業の枠を超えたイノベーションを促進するべく2020年に設立した10億ドルの基金だ。これまでに、商業用の直接空気回収技術や、持続可能な航空燃料(SAF)、産業脱炭素化技術などの革新的な気候テックに7億6100万ドルを提供した。

【参照記事】マイクロソフト 2024 年環境サステナビリティ レポート
【関連記事】マイクロソフト、カーボンネガティブへの道。初年度の進捗を公表
【関連記事】マイクロソフト、2030年までに水の供給量を消費量よりも多くする「ウォーターポジティブ」計画を公表
【関連記事】マイクロソフト、2030年までに「廃棄物ゼロ」を実現へ
【関連記事】マイクロソフト、消費者の「修理する権利」拡大に同意。製品の長寿命化を目指す