総合化学大手の三菱ケミカル株式会社は2月26日、スイスのエンジニアリングプラスチック(エンプラ)のリサイクル会社Minger Kunststofftechnik AGとMinger Plastic AGの買収を決定したと発表した。
サーキュラーエコノミー(循環型経済)の推進に向けた取り組みの一環で、買収はスイスに本社を置くグループ会社Mitsubishi Chemical Advanced Materials(MCAM)を通して、2月末を目途に完了する予定。なお、今回の買収は株式取得ではなく、製造設備等の資産譲渡及び営業権その他一切の権利義務の承継を行う方式を採用している。
同社の親会社である三菱ケミカルホールディングスは次期中期経営計画の骨格となる2030年を見据えたサステナビリティビジョン「KAITEKI Vision 30」を発表している。同社はこれに基づき、サーキュラーエコノミーをKAITEKIの実現のキーエレメントと位置付けており、プラスチックのリサイクルはその重要な取り組みの一つとする。
Mingerグループは、PEEK(ポリエーテルエーテルケトン)やPVDF(ポリフッ化ビニリデン)、ナイロンなどのエンプラについて、独自の優れたリサイクル技術を保有している。また、欧州域内に広域な原料回収ネットワークを構築し、リサイクル材の取引においては既に100を超える顧客と取引実績があり、欧州におけるエンプラリサイクルのビジネスモデルを確立している。
買収によって、同社はエンプラの製造から販売・加工・回収・再利用に至る一貫したビジネスモデルを構築することになる。「今後もエンプラ業界のフロントランナーとしてユーザーへのソリューション提案力を強化し続けるとともに、循環型社会の実現に向けて貢献していく」としている。