三菱化工機と川崎市は2026年7月27日、川崎市幸区の「夢見ヶ崎動物公園」を拠点とする地域循環モデルの実証実験「夢見ヶ崎プロジェクト」の発足記者発表会を開催した。
プロジェクトでは、動物公園で発生する食物残さをコンポストで堆肥化し、その堆肥でホップやレモングラスなどを栽培する。収穫した農作物は地域と連携したオリジナル商品の開発・販売に活用し、収益の一部を動物公園の運営に還元する仕組みを目指す。行政・企業・市民が一体となり、公共施設の廃棄物を収益源に転換する点が特徴となる。

プロジェクトの発足は、三菱化工機と川崎市が2026年6月15日に締結した「川崎市における循環型社会の実現に関する連携協定」に基づく。協定は資源・エネルギーの循環とサーキュラーエコノミー型産業の振興を通じ、都市イメージの向上とシビックプライドの醸成を目的としている。
参画メンバーは、夢見ヶ崎動物公園周辺で活動する「ゆめみらい交流会」を起点に集まった。動物公園が立地する幸区の施設やNPO法人からは農作物の作付け地の提供を受け、クラフトビール醸造所「東海道BEER川崎宿工場」、「元祖ニュータンタンメン本舗」、創業110年を超える和菓子屋「菓寮 東照」、プロダンスリーグ「D.LEAGUE」参戦チーム「KADOKAWA DREAMS」のほか、地元インフルエンサーやご当地アイドル、地域の子どもたちも加わった。三菱化工機は、企業の製品・技術導入を前提とした部分最適な連携ではなく、サプライチェーン全体を見据えた包括的な連携によるモデル構築を目指すとしている。
オリジナル商品は、2026年11月1日に川崎市内で開催予定のイベント「Colors, Future! Summit」での発売を予定する。堆肥づくりや農作物の栽培、商品開発の様子は、YouTubeやInstagramなどのSNSで順次発信するという。
背景には、1960~70年代の高度経済成長期に整備された公共施設・インフラの老朽化がある。動物園も例外でなく、施設の老朽化や入場料収入の伸び悩み、アニマルウェルフェアへの関心の高まりを受け、ふるさと納税やクラウドファンディングなど収入確保策を模索してきた。プロジェクトは、こうした構造的課題に対し、市民や利用者の負担を増やさない手法として、企業・自治体・市民が資源を循環させる仕組みを検証する。
動物園における資源の活用は、これまでもいくつかの取り組みが見られる。札幌市円山動物園はゾウのふんを年間約140トン全量堆肥化し、園内の緑地のほか周辺の学校や市管理公園、動物園に野菜を寄付する農家などに提供している。大阪市天王寺動物園も、糞に加えて草食動物舎の飼料の食べ残しを園内で堆肥化しているほか、食品ロス削減の一環として近隣ホテルから提供を受けたレタスの端材を動物の餌に活用する取り組みも行っている。そのほか東武動物公園や横浜市立金沢動物園でも、排せつ物の堆肥化が行われている。
これらの取り組みは、堆肥を園内や近隣で活用する段階にとどまる。夢見ヶ崎プロジェクトはここからさらに踏み込み、堆肥から育てた農作物を地域企業と連携した商品として販売し、その収益を動物公園の運営費に還元するところまで一連の仕組みとして組み込んでいる。堆肥化を出口とせず、収益化の起点として位置づけている点が、既存の取り組みとの違いといえる。
こうした動物園等の公共インフラを活用した収益還元の取り組みは、地域独自の公共インフラの運営継続性に貢献するものになるか注目される。
※写真はプレスリリースより引用
【プレスリリース】動物公園の食物残さからオリジナル商品をつくる 「夢見ヶ崎プロジェクト」発足記者発表会を開催 三菱化工機と川崎市が、市内公共施設の廃棄物を収益源に転換する 地域循環モデルの実証実験を開始
【プレスリリース】【報道発表資料】 夢見ヶ崎プロジェクトの開始に伴う記者発表会を開催しました
【参照記事】ゾウのフンたい肥化の取組み(札幌市円山動物園)
【参照記事】当園でのSDGs取り組み(天王寺動物園)
【参照記事】東武動物公園の SDGsへの取り組み
【参照記事】動物達からいのちの循環を学ぼう(金沢動物園)
【参照記事】サーキュラーシティ移行プロジェクト(近畿経済産業局)
【関連記事】三菱化工機と川崎市、地域循環モデルの構築に向け連携協定。未利用資源活用から人材交流まで
【関連記事】三菱化工機、循環型社会を目指す新プロジェクト「MKK PROJECT」を発足。DeNAや上智大学と連携




