三井物産株式会社はこのほど、大手タイヤサービスプロバイダーの加Kal Tireと鉱山用大型タイヤのリサイクル事業に共同で取り組むことで基本合意し、株主間協定書を締結した。
鉱山で生じる廃タイヤを分解処理技術を活用して再資源化する同事業では、カーボンブラックをタイヤ原料や工業用ゴム製品に、油および鋼を精製用途やスクラップ材に再生する。鉱山用大型タイヤリサイクル商業施設としては、業界初(三井物産株式会社調べ)の事業となる。
両社は、Kal Tireがチリで操業中のリサイクル施設を共同事業化し、2023年1月からの商業運転開始を目指す。鉱山用廃タイヤのリサイクル事業を世界展開するべく、今後、北米・南米・豪州・アフリカでの事業展開も視野に入れている。
三井物産株式会社は、1960年代から鉄鉱石などの資源開発に参画し、日本および世界各地域への金属資源の安定供給に取り組んできた。同事業を通じて、鉱山の環境・安全面の課題、および生産性改善・コスト削減などの課題の解決に貢献していきたい考えだ。
現在、廃タイヤのリサイクルや環境配慮型タイヤの製造など、タイヤに関するさまざまな取り組みが世界で進められているなか、両社は鉱山用大型タイヤのリサイクルに着目した。デジタル化と輸送部門における電動化が促進されているいま、電池需要は大幅に増加しており、採鉱事業における環境負荷削減が求められている。同事業が鉱山・タイヤ業界のサーキュラーエコノミー移行に寄与していくことが期待される。なお、ベルギーに本拠を置くNGOの欧州環境局(EEB)は、欧州グリーンディール下の計画は採鉱を拡大するとして、採鉱事業による環境や人体への悪影響を防ぐべく、計画の破棄と資源消費を大幅に制限する必要性をEUに訴えている。
【プレスリリース】加Kal Tire社との鉱山用大型タイヤリサイクル事業合弁会社の設立
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*冒頭の画像の出典:三井物産株式会社