環境省と日本経済団体連合会(以下、経団連)は1月20日、同日開催された両機関の懇談会での循環経済に関する議論を踏まえ、官民連携による「循環経済パートナーシップ」の立ち上げについて合意した。
同パートナーシップは、国内の企業を含めた幅広い関係者に循環経済への理解をさらに広めて、取り組みの促進を図り、循環経済への流れが加速している国際社会での地位向上を目指して、官民連携を一層強化することを目的とする。
具体的な取り組み案は、以下のとおりだ。
- 日本の先進的取り組み事例を国内外へ発信する
- パートナーシップに参画する各社・団体の取り組み事例を共有するとともに、一層の促進に向けた解決策を議論するための対話の場を設定する
- 世界経済フォーラムと開催する「循環経済ラウンドテーブル会合」(3月開催予定)などの国際会議での発信に協力する
今回の合意に至った背景は、次のとおりである。日本は、循環型社会形成推進に関する各種制度に基づき、行政・経済界・国民などの主体的協力を得て、適正処理と3Rの推進を実施してきた。一方、限りある資源のもとで「循環経済」に移行することは、世界共通の課題となっている。特に、ポストコロナ時代における新たな競争力の源として、企業が自社の事業戦略として消費者などを巻き込みながら、資源循環に取り組む動きを加速させることが必要だと認識されている。また、世界的に循環経済への移行が加速している状況において、日本の先進技術やソリューションを国外に発信・展開することで世界のグリーン成長に貢献するとともに、国として日本企業の中長期的な競争力強化を図っていくことが重要であると、環境省と経団連はみている。
今後、環境省と経団連は、具体的な取り組みの検討や参加メンバーなどの準備と調整を進め、2021年春頃に「循環経済パートナーシップ」を正式に発足させる予定だ。
※参考:2021年に開催予定の循環経済に関する主な国際会議
- 3月:世界経済フォーラム(WEF)との循環経済ラウンドテーブル会合(オンライン)-循環経済の先進的事例を有する国内外の産業界を中心に、今後の循環経済の目指すべき方向性などを議論
- 4月:WCEF(世界循環経済フォーラム)と気候変動に関するハイレベル会合(オランダ/ハイブリッド)
- 夏頃:第11回アジア・太平洋3R・循環経済推進フォーラム(ロシア・モスクワ)
- 9月:世界循環経済フォーラム(WCEF)2021(カナダ・トロント)
【プレスリリース】「循環経済パートナーシップ」の立ち上げに関する合意について
クリューガー量子
クリューガー量子(くりゅーがー りょうこ)ドイツ在住、ハイデルベルク市公認ガイド。土木工学を学び日本で土木技術者として働いた後、メキシコでスペイン語を習得、日西通訳として自動車関連企業で働く。2003年に渡独。専門分野:ドイツのサーキュラーエコノミー関連政策・企業動向、企業現地視察サポート、建設業界のサーキュラーエコノミー移行。個人ブログ:http://ameblo.jp/germanylife10/ 。(この人が書いた記事の一覧)