フランスのファッションブランドモンクレールはこのほど、サステナビリティへの取り組みを強化するため、気候変動対策・循環型経済・公正な資源調達・多様性の強化・地域社会への還元の5つの目標を主軸とした、「Born to Protect Sustainability Plan」を発表した。
同サステナビリティプランで掲げられた目標は、以下のとおりだ。
再生可能エネルギーを利用しCO2排出量を削減するなど、気候変動対策を実施する
- 2021年までに、同社の世界中の拠点で100%カーボンニュートラル(気候中立)を実現する
- 2023年までに、世界的に100%再生可能エネルギーを利用する
製品をより長く使用できるデザインや環境負荷が低い素材を採用し、廃棄物を削減するなど、循環型経済を構築する
- 2021年1月から、DIST(Down Integrity System and Traceability)認証ダウンのリサイクルを開始する
- 2023年までに、80%以上のナイロン素材の端材をリサイクルする
- 2025年までに、使用するナイロン生地の50%をサステナブルなものにする
- 2023年までに、従来の使い捨てプラスチックの使用をゼロにする
原材料の追跡を可能にし、公正な調達を行う
- 2023年までに、主要原材料のすべてを追跡可能にする
- 2025年までに、80%以上のサプライヤーが同社のソーシャルコンプライアンス基準の最高グレードを達成する
多様性を受け入れ、Nurture Geniusプロジェクトを促進する
- 2021年1月までに、社内外の文化変革を促進するため、ダイバーシティー&インクルージョン協議会を発足する
- 2022年までに、全従業員が異文化理解を図るための3年間のプロジェクトに参加する
- 2023年までに、職種や文化などの垣根を超えた新しい組織モデルを導入する
時間や価値を提供し、地域社会を支援する
- 2023年までに、防寒対策を必要とする10万人の人々を支援する
- 2年に1度、社会的価値の高いプロジェクトを実施する
- 2022年までに、全従業員がボランティア活動に参加する
同社の会長兼最高経営責任者(CEO)のレモ・ルッフィーニ氏は、「世界は、これまでに経験したことのない、緊急の社会および環境課題に直面しています。新型コロナウイルス感染症の流行は、未来をより良いものにするために私たちに何ができるか考えさせてくれました。一個人や組織、企業としてこのような課題に取り組むためには、並外れた努力が必要であり、同じ目標を持った人びとが一致団結することにより実現できると考えています。さらに、新しい考え方や働き方を受け入れ、新しい場所で革新的な解決策を見つけなければいけません。当社では、小さな一歩が素晴らしい結果に繋がるという認識のもと、研究や開発を謙虚に強化していきます」と述べている。
同社は、DISTプロトコルに沿った、トレーサビリティの確保・認証済みのダウン利用や、製品パッケージの90%にサステナブルな素材でできたものを採用し、イタリアやルーマニアなどの製造拠点で100%再生可能エネルギーを利用するなど、長年にわたりサステナビリティへの活動をビジネスモデルに取り入れてきた。2019年に、ダウ・ジョーンズ・サステナビリティ・インデックス(DJSI)に選出され、2020年7月には環境負荷の削減目標の成果と金利などの借入条件を連動させた、上限額4億ユーロのサステナビリティ・リンク・ローン(SSL)を受けた。さらに、ファッション・テキスタイル産業やサプライヤー、ディストリビューターなどの企業から構成されるファッション協定にも加盟しており、地球温暖化防止・生物多様性の回復・海洋保護の3つを主な目標として取り組んでいる。
【プレスリリース】MONCLER BORN TO PROTECT
【参考】Sustainability Plan
【参考】Sustainability