BSIグループジャパン株式会社は1月11日、水不足の課題と解決策をまとめたレポート「変化への渇望:ウォーターポジティブな未来を守る」の日本語版を発表した。原版は、業務改善と規格開発を推進するイギリスのBSI(The British Standards Institution、英国規格協会)が、水の効率的な利用に関するNGOのWaterwiseと提携し、英国、米国、日本、中国、オーストラリア、フランス、ドイツの7ヶ国を対象に行った調査を基にしている。

同レポートによると、世界の年間水使用量は、過去100年間で約3兆5,000億㎥増加しており、主要国で水不足のレベルが急上昇している。レポート内のWaterwise/BSI水不足指標は、40ケ国を7つの指標で評価。7ケ国が最も高いリスクに直面しており、フランス、ドイツ、英国、オーストラリアも中程度のリスクにさらされているという評価となった。

また、世界の二酸化炭素排出量の約10%が水の供給と使用に由来しており、干ばつは2050年までに世界人口の最大75%に影響を及ぼす可能性があると指摘。「今積極的に行動を起こさないと、気候変動危機への対応を怠ることと同程度に地球にとって有害」と警告する。

同レポートは、「経済発展と社会的ニーズを支え、国連の持続可能な開発目標を達成するには、水を賢く利用することが重要」と結論付けている。水の循環利用の促進を掲げ、「グローバルコラボレーションとイノベーションによって、干ばつリスクの軽減、気候変動対策における目標の達成、SDGsに合致した社会開発の推進など、より広範なメリットがもたらされる」としている。

特に今後の対策として、以下の6つを提言している。

  1. 水の浪費を深刻な課題として捉える
  2. 節水製品を購入しやすくし、持続可能な選択(サステナブル・チョイス)を可能にする
  3. イノベーションによってデータをさらに有効活用する
  4. 節水の文化を奨励する
  5. 循環させる
  6. パートナーシップで影響を与える

また、個人、組織、社会が起こせる行動についても言及。スマートメーターの利用拡大、新しい建物への代替給水システム(雨水貯留、雑排水のリサイクル)や持続可能な都市排水ソリューション(SuDS)の導入などを挙げ、実践を促している。

【プレスリリース】BSIとWaterwiseが提携し水不足に関する調査レポートを発表
【参照記事】変化への渇望 ウォーターポジティブ実現への挑戦と取り組み
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