フィンランドに本拠を置く代替燃料大手ネステは、革新的なケミカルリサイクル技術保有企業であるAlterra Energy(以下、Alterra)の過半数未満の株式を取得したと発表した。再生可能ディーゼルと持続可能な航空燃料を世界に供給するネステによる株式投資は、Alterra Energyの業務拡大を後押しすることになる。このコラボレーションには、共同技術開発とグローバルでの技術移転が含まれ、両社が協力してAlterra独自の熱化学液化技術をヨーロッパで商業化できるようにしていく。
Alterraの技術は、さまざまな使用済みプラスチックを、原油と同様の原材料に液化することを可能にする。液化された原材料は、ネステのような企業によって、ポリマーや化学製品に使われる高品質の原料にアップグレードされる。
両社は、プラスチックのバリューチェーンを完全に循環させることを世界で実現するため、まずは主要市場であるヨーロッパに重点を置き、Alterraの液化技術のグローバル展開に向けて協力していく。両社はケミカルリサイクルの採用を加速、リサイクル困難な廃プラスチックを高品質で高性能なポリマーや化学物質に変えることを目指し、2021年にヨーロッパで最先端の液化工場の建設を開始するというAlterra Energyの目標達成に向かう。
オハイオ州アクロンにあるAlterraの廃プラスチック液化プラントは、精製することでプラスチックや化学製品の高品質原材料にアップグレードできる充分な量の原料をすでに生産しており、 ネステの精製機能が加わることで、持続可能性を重視する世界のメーカーの製品に再生材を導入していくことになる。
「Alterra Energyとの協業により、循環型プラスチック経済への移行を加速することを目的としたネステのパートナーシップのエコシステムが強化されます。 これは、有望な技術の商業化において主要企業を支援することにより、ケミカルリサイクル産業を発展させ続けるという私たちのコミットメントを示しています。化学物質のリサイクルによる新しいビジネスの成長を構築するというネステの目標をサポートすると同時に、2030年以降に100万トンを超えるプラスチック廃棄物を処理するという目標に向けたもう1つの重要な一歩を示しています」とネステの再生可能ポリマーと化学部門のエグゼクティブバイスプレジデントであるメルセデス・アロンソ氏は述べている。
「ネステとAlterraの協力は循環型経済の可能性を最大限に引き出し、私たちの技術を世界中のより多くのパートナーに提供し、よりクリーンな地球を創造していきます。ネステは再生可能で循環型のソリューションを提供する世界的リーダーであり、彼らがAlterraのプロセスを支持することは非常に有意義な取り組みであり、その効果を確実に期待できます」とAlterraの CEO、フレデリック・シュマック氏は述べる。
冒頭写真:米国オハイオ州にあるAlterra の廃プラスチック液化ユニット(出典: Alterra)