東京都は9月11日、住宅用太陽光発電設備のリサイクルルート構築を目指す「東京都太陽光発電設備高度循環利用推進協議会」の第9回会合を開催した。今回の協議会では、太陽光パネルのリサイクル・処理の実態報告が主要議題となる。
東京都は2022年9月に、解体業者、収集運搬業者、リサイクル業者などの関係事業者で構成する同協議会を立ち上げた。これは、太陽光発電設備の普及に伴い、将来的な廃棄量の増加が見込まれる中で、資源の有効活用と環境負荷の低減を図るための取り組みだ。特に、住宅用太陽光発電設備は、その設置場所や回収ルートの多様性から、効率的なリサイクルシステムの構築が課題となっている。
協議会では、太陽光パネルの回収から処理、リサイクルに至るまでのサプライチェーン全体における課題を特定し、その解決策を検討している。具体的には、リサイクル技術の向上、処理コストの削減、関係事業者間の連携強化などが議論の対象だ。今回の実態報告を通じて、現状の課題がより明確になり、今後の具体的な施策立案に繋がることが期待される。
太陽光パネルには、シリコン、ガラス、アルミニウム、銅などの有価金属が含まれており、これらを適切に回収・リサイクルすることは、資源循環型社会の実現に不可欠だ。しかし、パネルの構造が複雑であることや、有害物質を含む可能性があることから、専門的な処理技術と設備が必要となる。また、リサイクルコストが新規パネルの製造コストを上回る場合があるため、経済的なインセンティブの創出も重要な課題だ。
東京都は、この協議会を通じて、関係者間の情報共有と連携を促進し、実効性のあるリサイクルシステムの構築を目指している。将来的には、都内における太陽光パネルの循環利用を高度化し、持続可能なエネルギー社会の実現に貢献する方針だ。
こうした取り組みの背景には、耐用年数を迎える太陽光パネルが2030年代半ばから急増することがある。なお、東京都が2025年4月に施行した「新築の戸建て住宅などへの太陽光パネル設置義務化条例」は、地球温暖化対策の推進と再生可能エネルギーの導入拡大を目的としており、都内における太陽光パネルの設置を大幅に増加させるものと見込まれている。そのため、設置後のパネルの適切なリサイクル体制の構築は、持続可能な社会を実現する上で喫緊の課題となっている。
【参照リリース】第9回東京都太陽光発電設備高度循環利用推進協議会を開催します!
【参照資料】第9回東京都太陽光発電設備高度循環利用推進協議会資料
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