環境省は3月13日、ESG金融ハイレベル・パネル(第8回)の開催にあわせ、「グリーンな経済システムの構築に向けた金融行動に関する宣言」を発表した。本宣言は、持続可能な社会の構築に向けた資金の流れのシフトや、地域企業のグリーン化支援、環境スタートアップへの投資拡大を掲げている。

ESG金融ハイレベル・パネルは、2018年のESG金融懇談会提言を受けて設置された。金融業界の主要関係者と政府が連携し、ESG金融の推進や政策のフォローアップを目的とする。今回のパネルでは、第六次環境基本計画に基づき、「循環共生型社会」の実現を目指し、ESG金融を含むサステナブルファイナンスの拡大について議論された。

本宣言は、具体的に以下の3点を柱とする。第一に、気候変動対策や循環経済の推進を目的とした投融資を拡大する。第二に、地域企業に対し、地域課題の解決を経済的価値へ転換し得る事業への資金支援を行うことで、経営のグリーン化を促進する。第三に、環境技術の社会実装と新たなイノベーション創出を加速させるため、環境スタートアップへの投資を拡大する。これらを通じ、金融を活用した環境配慮型経済の構築を進める。

本パネルには、日本政策投資銀行や東京証券取引所、日本損害保険協会など、金融・投資業界の代表者が参加し、議論が行われた。また、ネイチャーポジティブ経済やサーキュラーエコノミーの実現について、金融業界の取組が紹介され、幅広い業態で推進するための方策や課題について議論も行われた。

今回の宣言は、第六次環境基本計画が掲げる「ウェルビーイング」を最上位目標とする社会構築の一環と位置づけられる。計画では、ネット・ゼロ(温室効果ガス排出実質ゼロ)、循環経済、ネイチャーポジティブなどの政策を統合的に実施し、社会全体の持続可能性を高めることが求められている。金融業界としては、これらの目標に沿った資金提供を進めることで、経済の脱炭素化や資源循環の促進に貢献する狙いだ。

【プレスリリース】グリーンな経済システムの構築に向けた金融行動に関する宣言について
【参照記事】ESG金融ハイレベル・パネル(第8回)の開催について
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