建築マネジメント事業・不動産活⽤事業・システム開発事業・飲⾷開発事業などを展開するデザイン会社の株式会社NODは8月31⽇、株式会社ネクアスとBooleanと共同で”⾃然と⼈間のつながりを捉え直し、有限の資源を利活⽤する循環型都市を実現する”プロジェクト「Recapture」を開始した。

同プロジェクトの第⼀弾として、株式会社ネクアスが開発した生分解性酢酸セルロース素材「NEQAS OCEAN」を使用した大型3Dプリント家具を発表した。同プロジェクトでは、酢酸セルロースをはじめとした⽣分解性バイオマス素材や有機廃棄物などを3Dプリンターで加⼯・再利⽤する。プロジェクト名「Recapture」は「捉え直す」という意味を持ち、⼈間と⾃然の関係・素材の持つ可能性・都市のあり⽅など、さまざまなものを捉え直して未来を創造するという思いを込めたと発表した。

酢酸セルロースは、木材繊維や綿花など自然由来の資源を用いた素材だ。⾼い⽣分解性を持ち、使用後は⼟に埋めたり海中に沈めたりすることで、⾃然界において1~3年で⽔と⼆酸化炭素に分解される。同製品に使用されている「NEQAS OCEAN」は酢酸セルロースに可塑剤などを配合した、熱成形可能なセルロース系バイオマス素材だ。可塑剤には食品添加剤や宇宙食にも使用される自然や人体に影響のない素材を使用しており、都市環境の改善に貢献しうるとしている。

今後、株式会社NODは⾞や船などのモビリティ・住宅や商業施設などの建築物・橋やトンネルなどの建造物なども、3Dプリンターと再利⽤可能素材を使用してつくることを目指している。都市全体を再利⽤可能な素材でつくり、3Dプリンターの動力源に⾃然エネルギーを利用することで、持続可能な循環型社会を実現したい意向だ。

生分解性素材の使用は、エレン・マッカーサー財団が提唱するサーキュラーエコノミーの原則の一つ「ごみ・汚染を出さない設計」に適合する。3Dプリンターによる形成の長所としては、発生するごみが少なく、安価に短時間で形成できることなどが挙げられる。3Dプリンターを使用した建築物や建造物は海外で数々の建設事例が報告されている。日本では建築基準法による規制があるため3Dプリンター使用の建設は現在困難だが、歩行可能なが製作され、大規模デッキのコンクリート柱の建設に使用されるなど実現場での適用も始まった。2019年には日本初となる3Dプリンターで住宅をつくるプロジェクトも開始されており、株式会社NODが目指す再利⽤可能素材の使用も含め、今後の動向が注目される。

なお、株式会社NODは、バイオマス素材や生分解性素材をはじめとした環境に配慮した素材と3Dプリンターにより、大型造形の家具や建築物の創造を共同で実施するパートナー企業を募集している。

【プレスリリース】【世界初】生分解性素材の酢酸セルロースを使⽤した大型3DP家具を発表! バイオマス素材×3Dプリンターで循環型都市を実現するプロジェクト『Recapture』開始。
*記事中の画像の出典:株式会社NOD