英携帯大手O2が、環境慈善団体Hubbubと共同で、ロンドン自治区サザークの最も弱い立場にある世帯に中古のスマートフォンを寄付する試験的取り組み「コミュニティコール」キャンペーンを5月14日に開始したと発表した。

同国では、日常的に使われている携帯電話1台に対して、使用可能だが放置されている携帯電話が4台あるというデータがある。その一方で、国内の190万世帯はインターネットにアクセスできず、「デジタル的に遮断された」デジタル弱者だと考えられている。

新型コロナウイルス感染症(COVID-19)によるパンデミックで、インターネットは平時以上にライフラインとして機能している。このキャンペーンは、使われずに眠っている中古のスマートフォンを顧客から回収し、最も弱い立場にあるインターネットにアクセスできず孤立している人たちに届ける試みだ。対象者は、Hubbubがサザークの地元の団体と協力して、高齢者や低所得者、家庭内暴力の被害者、難民申請者など、インターネットによる助けを最も必要としている人々を特定した。

寄付された機器は、リサイクル企業Recono.meでデータの消去、クリーニング、再整備された後、対象者の手に渡る。合計800台のスマートフォンやプリペイドSIMを寄付することを目標としている。

サザークは、ロンドンで最も新型コロナの影響を受けた地区の一つだったため、このキャンペーンの実施地区に選ばれた。まずはサザークでテストをしながら、他のイニシアチブに情報提供を行う。成功すれば同じ取り組みを他地域で展開する可能性もある。

O2はこれまでにも古い機種を現金と交換し、データを削除したうえで再利用やリサイクルする「O2 Recycle」を、ネットゼロ(実質炭素排出ゼロ)を目指す取り組みとして続けており、これまで450トンのスマートフォンが廃棄を免れたと発表している。今回の取り組みもこの一環として実施される。

Hubbubのディレクター兼共同創設者、ギャビン・エリス氏は同キャンペーンについて次のように話している。

コミュニティコールは、現在のパンデミックの最中に、使われていないスマートフォンを最も必要としている人々が簡単に手に入れられる方法です。重要なサービスへのアクセスや、子どもの教育、愛する人と連絡を取り合うことができます。さらに、電気廃棄物が埋め立てまたは焼却されるのを回避するという環境上のメリットもあります」

O2のパートナーシップ・ソーシャルインパクトの責任者であるトレーシー・ヘラルド氏は、「この試験的キャンペーンは、デジタル的に除外された人々を支援することにつながるとともに、環境にも貢献することになります」と述べた。社会的にも環境的にもメリットを生むこのサーキュラー型の取り組みの広がりに、今後も期待したい。

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【参照サイト】O2 Recycle