一般社団法人大崎町SDGs推進協議会と株式会社オークネットの子会社である株式会社オークネット・アイビーエス(オークネットIBS)は5月30日、大崎町のリサイクルシステムの一部である生ごみ堆肥化ノウハウをデジタル化するための協働実証実験を開始した。

同町は、住民・企業・行政の協働による焼却炉に頼らない低コストの廃棄物処理システム「大崎リサイクルシステム」と独自の「OSAKINIプロジェクト」を擁し、リサイクル率日本一を誇る。

すべてのもの(資源)がリユース・リサイクルされ、循環する持続可能な社会のモデルとなる「サーキュラーヴィレッジ・大崎町」の実現を目指し、家庭ごみの6割以上を占める生ごみや草木などの有機物の堆肥化に取り組んでいる。

堆肥化作業の中で最も重要なのが、60度〜90度の間で変化する発酵過程における温度管理だという。これまでは、職員が現場で堆肥の状況を確認し、かく拌・散水を行っていた。職員への負担が大きく、属人的な作業の効率化や汎用化が課題となっていた。

高温腐食環境下で温度管理可能かつ温度変化データを自動記録できる温度センサーを本実験のために開発。実証実験では、家庭ごみを堆肥化している有機工場の堆肥ピットに温度センサーを差し込み、オークネットIBSのIoTプラットフォームを通じて、ダッシュボードで温度データを確認するという。また、温度変化とかく拌、散水のタイミングを記録することで、堆肥化作業のノウハウのデジタル化に取り組む。

実験期間は1年間を想定。生ごみ堆肥化ノウハウのデジタル化は、同協議会が主体となる事業「ALL COMPOST PROJECT(オールコンポストプロジェクト)」の実証に取り組んでいる自治体とも連携予定だ。

大崎町SDGs推進協議会は2021年4月設立。同町が20年以上積み重ねてきたリサイクルの取り組みを土台に、循環型のまちづくりをより多方面に展開するため、多様な主体がパートナーシップを組み設立された。それぞれのステークホルダーが強みを生かすことで、一つの自治体では成し得ないさまざまな課題の解決に取り組んでいる。

オークネットは1985年の創業以来、二次流通の専門ノウハウや流通ネットワークを蓄積。 2021年にはサステナビリティポリシーとして「価値あるモノを、地球規模で循環させる〜Circulation Engine. (サーキュレーションエンジン)」を制定、世界中の「価値あるモノ」を世界中の「求める人のもと」へ循環させる「循環型流通」の構築に取り組んでいる。

オークネットIBSは、オークネットの豊富な実績と運営ノウハウに、最新の技術を適用したIoTプラットフォームを提供するため、2015年1月にオークネットから分社化。システム開発とソリューション提供を手掛けてきた。

同町の生ごみ堆肥化において重要な温度管理のデジタル化を実現するため、オークネットIBSの強みを活かし、協働実証実験を行う。

【プレスリリース】大崎町SDGs推進協議会とオークネットIBS生ごみ堆肥化ノウハウ共有のための協働実証実験開始
【参照記事】大崎リサイクルシステム展開先自治体募集プログラムの第一弾として長崎県対馬市が決定! 協働し、家庭から出る生ごみの堆肥化実験開始
【参照記事】OSAKINI PROJECT
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