リサイクル率日本一を14回達成した自治体として知られる鹿児島県大崎町で、体験型宿泊施設「circular village hostel GURURI(サーキュラーヴィレッジホステルグルリ)」が、12月21日にプレオープンした。

同町の一般社団法人大崎町SDGs推進協議会は、2023年度から循環型社会「サーキュラーヴィレッジ・大崎町」を体感できる施設を順次着工しており、サーキュラーヴィレッジホステルグルリはその第一弾だ。「大崎町らしい建物」として環境負荷を軽減した工夫を施しており、宿泊しながら分別など25年続く同町の取り組みを体験できる。

1990年代、大崎町ではごみの排出量が増加し、最終処分場の残余年数がひっ迫していた。住民・企業・行政の三者が協力し、資源リサイクルに着手。3品目からスタートしたごみの分別・回収の取り組みは、27品目にまで拡大した。三者一体となってリサイクルを実践、普及させてきたのだ。

こうした取り組みが評価され、同町は、12年連続を含む合計14回、自治体としてリサイクル率日本一を達成し、「ジャパンSDGsアワード」内閣官房長官賞を受賞している。同町の環境問題への取り組みは「大崎リサイクルシステム」としても知られ、大崎町には日本だけでなく海外からも来訪者が多い。

リサイクルの基盤となる町民の生活を共有・体感してもらえる拠点として、サーキュラーヴィレッジホステルグルリは、リサイクル行動につながるような製品・サービス・仕組みづくりの促進に貢献し、未来の暮らしづくりに携わる行政・企業・教育機関の足がかりになることが期待されている。同施設の建物は、元県職員住宅を改修、リノベーションしたもの。特徴的な設備のひとつとして、アイランドキッチンには町内で使われてきた資材を活用。「みんなが集える別荘」という位置づけで、多人数で賑やかに作業しながら一つの体験を共有し、その結果も写真などに残しやすいデザインを意識した。

また、太陽光パネルおよび木質バイオマスによる給湯設備を導入し、再生可能エネルギーの利用を推進。加えて、それらを効率的に運用するために、国が定める断熱等級6の性能水準を実現した。家具や家電なども、地域にある資源の活用(地産地消)やPaaS(Platform as a service)などの資源循環に即したサービスを導入。全国的にみても、資源循環型社会にかかわる先進的な取り組みを実際に体験できる施設となっている。

プレオープン期間中は大崎町SDGs推進協議会の関係者を宿泊対象とし、一般客が宿泊できる本オープンは2024年4月を予定している。2024年1月9日~12日には、地域住民向けの内覧会「OPEN HOUSE」も実施予定。

【プレスリリース】体験型宿泊施設「circular village hostel GURURI」がプレオープン!2024年4月から本オープン、体験を充実させ一般のお客様宿泊も可能に。
【参考記事】OSAKINI PROJECT
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