株式会社竹中工務店、巖本金属株式会社、岸和田製鋼株式会社、共英製鋼株式会社、東京製鐵株式会社は12月14日、建築物の解体により発生する鉄スクラップを起点とした循環サイクルの最適化を5社が連携して推進していくと発表した。

今回の連携体制は、竹中工務店が提唱する「サーキュラーデザインビルド」のコンセプトに基づくもの。サーキュラーデザインビルドは、サーキュラーエコノミー(循環経済)を実現するため、建築物の設計および施工段階でリユース・リサイクル建材の選択や、解体を考慮した設計手法検討に繋げる考え方と実践のための取り組みだ。

具体的な連携の内容は、解体時に排出される鉄スクラップなどから電炉を利用した製品の製造や、新たなプロジェクトにおける設計・施工に至るまで、共通プラットフォームにより効果を可視化し、トレーサビリティの確立を目指す。こうした取り組みにより、鋼材の活用数量とCO2排出量の全体最適化を図る。

鉄スクラップは、電気で溶かす電炉法によって再生され、電炉鋼材として再利用可能となる。資源の少ない日本にとって、鉄スクラップはリサイクルに適した貴重な金属資源だと言われている。しかし、これまで建築における鉄のリサイクルは、各業界の経済性が優先され、業界をまたぐ連携はあまり見られなかったのだ。

今回、サーキュラーデザインビルドの実践のため、鉄、非鉄金属その他スクラップの回収・加工を担う製鋼原料加工会社、電炉鉄鋼メーカー、ゼネコンが協業体制を構築。竹中工務店が解体する建築物から排出される鉄スクラップを、巖本金属が回収。電炉鉄鋼メーカーのニーズに合った製鋼原料に加工し、岸和田製鋼、共英製鋼、東京製鐵が環境負荷の低い電炉で原料を溶解し製品化する。

電炉鋼材における「サーキュラーデザインビルド」

竹中工務店が手掛けるプロジェクトで解体を考慮した設計手法のもと、施工を進めるプロセスのトレーサビリティを確立、可視化による効果を定期的に確認・検証する。

鉄スクラップ循環サイクルの脱炭素化を図るため、製鋼原料加工、製品製造、設計(建築)、施工(解体)の4つの段階で、使用するエネルギーおよびCO2排出量の可視化と最小化を進めていく。

【プレスリリース】業界の垣根を超えた「サーキュラーデザインビルド」を電炉鋼材から推進
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