株式会社竹中工務店と出光興産株式会社はこのほど、建設現場で発生した使用済みプラスチックの再資源化を目指し、実証実験を開始すると発表した。

同実証で活用する使用済みプラスチックは、プラスチック建材を取り付ける際に発生する端材や、建物を解体する時に撤去したプラスチック建材だ。これらの使用済みプラスチックは、さまざまな種類の端材や解体材が混合しており、一部の建材を除きリサイクルできない塩素を含有するプラスチック建材も多く含まれている。そのため、本来リサイクルできる塩素非含有プラスチックは、十分に分別されず廃棄処分されている。

同実証における各社の役割は、次のとおり。竹中工務店は出光興産と出光興産の子会社ケミカルリサイクル・ジャパン株式会社と共同で、油化に適する使用済みプラスチックを検証し、建設現場で使用済みプラスチックを分別する。同実証において、竹中工務店は建設系使用済みプラスチックの水平リサイクル実現を目指す。ケミカルリサイクル・ジャパン株式会社は、油化ケミカルリサイクル技術を用いて生成油を生産。出光興産は、生産された生成油の石油化学製品や燃料油の原料の利用可能性を確認し、再資源化の可能性を検証する。

(出典:竹中工務店、出光興産)

出光興産は2022年に中期経営計画を発表。このなかで、「一歩先のエネルギー」「多様な省資源・資源循環ソリューション」「スマートよろずや」の3つの事業領域の社会実装を目指している。同社は、今回の取り組みを「多様な省資源・資源循環ソリューション」の社会実装に向けた重要な取り組みと位置付けて展開する計画だ。

将来的に、出光興産は同社の石油精製・石油化学装置を活用し、建設系使用済みプラスチック由来の生成油を原料とした化学品や燃料油の生産を目指す。

一般社団法人 産業環境管理協会の「リサイクルデータブック2019」によると、建材は、廃プラスチック排出量のうち6.9%を占める。国土交通省は、2020年に策定した「建設リサイクル推進計画2020~「質」を重視するリサイクルへ~」のなかで、建設工事から発生する廃プラスチックの分別とリサイクルを促進していくと明記している。現在、建設廃棄物のリユースおよび効率的利用に向けて、さまざまな取り組みが進められている。

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