市場調査・コンサルティング企業のAstute Analyticaが最近発表した調査によると、世界の再生プラスチック市場は2024年の508億米ドルから年平均8.1%で成長し、2033年には1024億米ドルに達する見込みだ。深刻化するプラスチック廃棄物問題への対応が、市場拡大を力強く後押ししている。
国連環境計画(UNEP)の報告では、世界で年間約3億6,000万トンのプラスチックが廃棄されており、そのうち少なくとも年間800万トンが海洋に流入していると推定される。こうした背景から、各国政府は規制を強化しており、2020年以降、20以上の主要経済国が拡大生産者責任(EPR)プログラムを導入または拡大した。
また、100カ国以上が消費財における使い捨てプラスチックの使用を制限する法律を導入し、リサイクル素材や再利用可能な素材への需要を高めている。欧州連合(EU)では、2025年までに毎年400万トン以上の再生プラスチックを包装材に統合することが求められるなど、具体的な目標も設定された。ケミカルリサイクルといった革新的なリサイクル技術への関心と投資も高まっている。
市場の主要な供給源としては、ペットボトルが市場シェアの69%以上を占めると予測される。ペットボトルはリサイクル性が高く、複数回の再加工が可能である点が強みだ。素材別では、ポリエチレンテレフタレート(PET)がその優れたリサイクル性と適応性により約55%の市場シェアを獲得し、包装材だけでなくデータセンターの冷却パイプライン部品など新たな用途も開拓している。最終用途としては、包装業界が市場の約54%を占め、エコイノベーションを牽引している。小売業者は回収プラスチックから作られた包装ソリューションの利用を拡大し、クローズドループシステムの構築が進んでいる。
一方で、再生プラスチック市場は非常に細分化されており、B&B PlasticsやClear Path Recyclingといったトップ6社の合計市場シェアは12%未満に留まる。多くの中小企業が地域のリサイクルプログラムや産業廃棄物から直接原料を確保し、市場を支えている。また、市場は着実に拡大しているものの、再生プラスチックの品質はバージン材と比較してばらつきが生じやすい点、効率的な回収システムを構築する必要がある点、PET以外の多様なプラスチック種に対応するリサイクル技術の確立が必要といった課題も存在する。
サーキュラーエコノミーへの移行を加速させる上では再生プラスチック市場の発展に加え、プラ使用量削減を実現するモデルづくりも必要だ。製品設計からビジネスモデルづくり、廃棄・回収にいたるまで社会システム全体の変革が求められる。
【プレスリリース】リサイクルプラスチック市場、2033年までに1,024億米ドルに達する見込み
【関連記事】プラスチックリサイクルの動静脈企業が「SusPla」設立。再生プラ市場の拡大へ
【関連記事】三菱総合研究所、再生プラスチックの需給マッチングアプリの開発・実証へ。市場創出へ貢献
【関連記事】再生プラで事業者に利用計画策定を義務化へ 経産省
