岡山県倉敷市のアパレルブランド5社「THE EASY SHOP」「ダンジョデニム」「land down under」「Ura studio」「WHOVAL」はこのほど、企業横断・共創型の循環プロジェクト「Remade in Japan」を開始した。

5社は協働し、消費者からデニム製品を回収・選別・裁断・反毛(※)・リサイクルして、デニム生地を再製造し、各社がリサイクルデニム製品を製造していく予定だ。2022年度内の各社製品化を目標としている。回収拠点は、「THE EASY SHOP」「ダンジョデニム」「WHOVAL」の直営店、および「land down under」のpop-upイベントなど。

初年度は、5社が共同で製品回収からリサイクル生地生産までを実施し、製造した生地を分配して各社が製品を製造し、合同展示会を開催して販売する。地域回収あるいは直接回収に限定し、産地内で資源循環プラットフォームを築いていきたい考えだ。

同プロジェクトで製造する製品には、再びリサイクルする際に廃棄物を最小限に抑えるべく「サーキュラーデザイン」を施し、綿糸で縫製し縫製仕様を工夫するとともに、素材を検討していくとしている。

同プロジェクト発足の背景は、アパレル業界における環境や人権などの問題と国内生産比率の落ち込み(国内アパレル市場における輸入浸透率は97.7%)、および日本企業における認証制度の現状だ。欧米では認証制度の展開が進み、認証の有無で取引先を選ぶ企業も増えてきたが、日本では零細企業が多く、認証制度に準じることは難しいと5社はみている。岡山県倉敷市から同県井原市までの備中地区は、ジーンズとデニムをはじめとする繊維産業が盛んな地域であることから、”わたしたちが日本から”産地状況に合った「あたらしいスタンダード」を定義し発信していく必要があると5社は考えた。

経済産業省は2022年5月、さまざまな課題が指摘されている繊維業界の今後の指針を示すべく、「繊維技術ロードマップ」を策定した。サステナビリティとウェルビーイングに重点を置いた同ロードマップにおいても、重点的に取り組むべき技術開発として「繊維to繊維リサイクル」が示されている。日本の繊維産業の状況を鑑みつつ産地内で資源循環を目指すプロジェクト「Remade in Japan」の今後の展開が期待されるとともに、こうした取り組みが広がっていくことが望まれる。

※ 反毛(はんもう):明治や大正期から存在した再生技術で、古着などを針状の機械で引っ掻くように綿状に戻しバージン綿を配合して糸をつくり、再び服にする。かつては倉敷にも存在した反毛工場は現在、国内では愛知や岐阜に残るのみ

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※冒頭の画像の出典:THE EASY SHOP、ダンジョデニム、land down under、Ura studio、WHOVAL