RMIT大学は、2026年初頭にオーストラリア初となる「リジェネラティブ・フューチャーズ研究所(Regenerative Futures Institute、以下RFI)」を設立すると発表した。
RFIは、環境や社会の複雑な課題に対応するため、学際的な教育と研究を展開し、学生や社会人に変化する時代を生き抜く力を育むことを目的とする。会計や建築、広報など幅広い分野の学生が、サーキュラーエコノミーや社会の再生に関する体系的な学びを得られる仕組みが導入される見通しだ。
「リジェネラティブ」とは、単に環境負荷を減らすだけではなく、生態系や社会システムを積極的に回復し、よりよい状態へと再生していく考え方を指す。研究所は、この発想を多様な産業や学問領域に統合することをめざしている。
新たに設けられる「リジェネラティブな未来」の副専攻は、文系・理系を問わず、全学部生が自身の専門プログラムの一部として履修可能となる。
また、社会人学習者向けには、複数のショートコースを組み合わせて副専攻につなげられる仕組みが整備される。コースには「リジェネラティブなビジネスモデル」「リジェネラティブな価値体系」「サーキュラーエコノミーのためのデザイン」「社会の公平性と再生」など、幅広いテーマが含まれる。
RMIT大学は学際的研究の強みでも知られている。タイムズ・ハイヤー・エデュケーション(THE)が2024年に初めて発表した学際的科学ランキングでは、世界22位、オーストラリア国内1位を獲得している。RFIはこの強みを活かし、産業界や政府、地域社会と連携した共同研究を通じて、グローバル課題への解決策を広げていく。
オーストラリアを代表する公立大学の一つであるRMIT大学が設立するRFIは、リジェネラティブな実践とサステナビリティ分野のイノベーションを推進する大きな力となることをめざす。
RFIは教育プログラムに加え、2026年には産業界や政府、一般市民が参加できる「思索的イベント」を開催し、リジェネラティブな未来を考えるための重要な知識を社会に広げていく予定だ。さらに2027年からは大学院プログラムの導入も計画しており、より専門性の高い教育と研究の場を広げる。
研究所長に就任するクリス・スピード教授は「RFIのコースはスキルの空白を埋め、企業や学習者が気候変動や持続可能性の課題に応える力を身につけるよう独自に設計されている」と述べた。さらに「最終的には、どの専門分野を学ぶ学生であってもリジェネラティブな未来を学び、急速に変化する環境の中でリーダーシップを発揮できる人材として育つ」と強調した。
【プレスリリース】RMIT launches Australia’s first Regenerative Futures Institute
【参照ページ】Times Higher Education ranks RMIT 22nd globally for interdisciplinary research
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