国立大学法人静岡大学発のベンチャー企業S-Bridges株式会社は4月22日、植物由来素材の100%利活用を目指す「Bio Material Transformation(BMT)」事業を、異業種7社と連携して本格的に始動したと発表した。BMTとは、植物素材を構成するすべての成分を抽出・分離し、それぞれを無駄なく活用する技術であり、同社の商標でもある。
参加企業は、S-Bridgesに加え、株式会社アイシン、アサヒ飲料株式会社、デンカ株式会社、カゴメ株式会社、オルガノフードテック株式会社、帝人フロンティア株式会社の計7社。これらの企業が持つ、植物を扱う飲料・食品の製造、抽出・分離、取り出した成分を活用する化成品や繊維開発の技術を結集し、従来廃棄されてきた植物の未利用部分から新たな付加価値を創出する新バリューチェーンの形成を目指す。
第一弾として、静岡県で茶葉を対象とした取り組みを展開する。茶葉にはタンパク質や繊維、ミネラルなど様々な成分が含まれているが、従来飲料用途として水溶性の一部の成分しか利用されてこなかった。S-Bridgesが開発した酵素と湿式粉砕を併用した独自技術により、葉内部の細胞壁を柔らかくし、粉砕・分離することで、全成分抽出を実現するという。茶葉の全量活用により、食品廃棄物の削減やタンパク質自給率の向上への貢献を目指す。
同社は、静岡県内の企業とも連携し「BMT静岡(BMT Shizuoka)」チームを立ち上げ、地域展開を図る方針。今後は対象植物を拡大し、BMT技術を中核としたサーキュラーエコノミーの国際展開を視野に入れる。
全世界のサーキュラーエコノミー市場は約540兆円、日本市場は2030年に80兆円規模とされる中、同社は1%に相当する5.4兆円の事業規模の獲得を目指すとしている。
【プレスリリース】植物を100%活用するBio Material Transformation(BMT)事業を異業種7社が取り組み開始
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