シュローダーは12月17日、「2022年市場見通し(サステナビリティ)」を発表した。世界経済、(REIT/不動産株式)に続くレポートで、同社のサステナブル投資チームは、注目すべきESG(環境・社会・ガバナンス)エンゲージメントのテーマとして人的資本管理、人権、多様性、「インクルージョン」などの社会的問題により焦点が当てられると予想する。

21年は第26回気候変動枠組条約締約国会議(COP26)に関連して、気候変動が大きなニュースとして取り上げられ、引き続きメインテーマとなる見込み。21年初頭、同社は英国を代表する株式指数「FTSE350」の構成企業に対し移行計画を公表するよう書面で要請し、エンゲージメント活動を欧州と米国にも拡大した。引き続き投資先企業の中でも最も影響を受けやすい企業を中心に目標の設定を求めていく方針。また、自社でもネット・ゼロへの移行を約束しており、エンゲージメントによる影響力は、目標達成のため不可欠としている。同社では、環境問題への取り組みが気候変動問題だけではなく、生物多様性や天然資源の制約という点においても焦点が当たるようになると考えている。特に、生物多様性や天然資源の制約に関連して、森林伐採、持続可能な食と農業、廃棄物管理などの問題に注目する。独自の取り組みを開始するだけでなく、自然資本の重要なリスクが事業にどのような影響を与えるかを開示するよう、企業に働きかけるために協働していく。

コロナ禍によって、在宅勤務や労働者の健康と安全、ウェルビーイングに関する方針などの人的資本管理が意識されるようになった。また、近年増加しているギグ・エコノミーや非伝統的な労働形態も注目が集まっている。同社は企業への通知とフォローアップを行い、労働者やその他のステークホルダーが可能な限り保護されることを保証する企業を支持すると表明している。

ダイバーシティとインクルージョンは、今後もエンゲージメント活動の中で重要な位置を占め、22年以降も強力なテーマとなる。これまでは取締役会レベルでのジェンダー・ダイバーシティに焦点を当てていたが、今後は経営陣や管理職からより幅広い従業員まで、また人種、社会経済、LGBTなどの多様性の観点から推進していく。

人権というテーマでは、企業が権利者に与える影響という観点から、サプライチェーンなどを通じた労働者や事業活動の影響などを通じた地域社会、企業が提供する製品やサービスを通じた消費者まで幅広く含める。21年は「国連ビジネスと人権に関する指導原則」(UNGPs)が採択されてから10年目。今後10年間で、UNGPsの採択と実施を推進し、その規模を拡大するために、エンゲージメントを進捗させる。また、デマ情報やプライバシーの問題など、デジタル上の権利に関する問題にも注視する。

【関連サイト】シュローダー・インベストメント・マネジメント株式会社

※本記事は、ハーチ株式会社が運営する金融投資メディア「HEDGE GUIDE」の「2022年に機関投資家が注目するESGエンゲージメントのテーマは?シュローダー市場見通し」より転載された記事です。