SUBARUは8月18日、エンジンやトランスミッションを生産する群馬製作所 大泉工場で、マクセル製のセラミックパッケージ型全固体電池を搭載した工場設備のテスト運用を8月より開始したと発表した。産業用ロボットなどのバックアップ用電源を長寿命の全固体電池に置き換えることで、使用済み電池という産業廃棄物とメンテナンス工数の削減を推進し、サーキュラーエコノミーの実現を目指す。

自動車の製造工程で広く導入されている産業用ロボットや、設備や機械の動きをプログラムで制御する装置「プログラマブルロジックコントローラー(PLC)」は、メモリ保護のためのバックアップ用電源を必要とする。この電源には、充電して繰り返し使用することができない使い捨ての一次電池が搭載されることが多く、SUBARUによると通常1〜2年ごとの定期的な電池交換が必要となり、使用済み電池が産業廃棄物として排出されることが課題だった。

今回のテスト運用では、マクセルの全固体電池「PSB401010H」を産業用ロボットとPLCに搭載する。この電池は10年以上の交換が不要な長寿命を特徴としており、電池交換の頻度を大幅に削減できる。これにより、使用済み電池の発生を抑制するとともに、交換作業に伴うメンテナンス工数の削減にもつながる。

全固体電池は、電池内のイオンの通り道となる電解質を液体から固体に変えた次世代電池だ。液漏れのリスクがなく、長寿命や広い温度範囲での動作安定性といった特性から、従来の電池では対応が難しかった産業機器や車載用途での活用が期待されている。

SUBARUは、今回の取り組みを通じて生産現場における環境負荷を低減し、同社がグローバルサステナビリティ方針で掲げるサーキュラーエコノミーの実現に向けた活動を加速させる考えだ。

【プレスリリース】SUBARU 全固体電池を搭載した工場設備のテスト運用を開始
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