住友重機械プロセス機器株式会社は9月16日、株式会社本田技術研究所(以下、ホンダ)と共同で開発した自動車部品のプラスチックリサイクル用パイロットプラントをホンダ技術研究所へ納入したと発表した。このプラントは、使用済み自動車から回収される廃プラスチックの再資源化を目的とした「ケミカルソーティング技術」の実証に用いられる。

自動車産業では、軽量化やデザインの自由度向上、コスト削減のためにプラスチックの使用量が増加している。しかし、使用済み自動車から回収される廃プラスチックは、金属やガラス繊維などの異物が混入しているため、高品質なリサイクルが困難だ。特に、多種多様なプラスチックが複合的に使用されていることから、効率的な選別と再資源化が大きな課題となっている。現状では、多くの廃プラスチックが焼却処理されており、資源の有効活用とCO2排出量削減の観点から、革新的なリサイクル技術が求められている。

ホンダが開発したケミカルソーティング技術は、従来焼却処理されていた使用済み自動車由来の廃プラスチックから、金属やガラス繊維などの固体異物を99%以上分離し、高純度プラスチックを抽出することを可能にする。抽出された高純度プラスチックは、再資源化工程を経て再び自動車用材料として利用できる。この技術は、リサイクル率の向上とコスト削減という課題解決に貢献する。

住友重機械プロセス機器は、ホンダの基本仕様に基づき、計画の初期段階から参画。撹拌装置メーカーとしての専門技術とプラントエンジニアリング力を融合させ、設備仕様やプラント構成を共同で開発することで、ケミカルソーティング技術のパイロット段階へのスケールアップを実現した。本設備には、製作工場でプラント全体を仮組み立てした後、ブロック単位で現地へ輸送・設置するモジュール工法が採用されており、工期短縮とプラントのコンパクト化が図られている。また、撹拌装置には同社のコア技術であるMAXBLEND®が使用されている。

住友重機械プロセス機器は、今後も高い提案力とエンジニアリング力で顧客のニーズに寄り添ったオーダーメイドのプラント設備を提供し、サーキュラーエコノミーの実現に貢献する方針だ。

【プレスリリース】住友重機械プロセス機器が本田技術研究所へ自動車部品のプラスチックリサイクル用パイロットプラントを納入
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