スズキ株式会社は2024年7月17日「エネルギーを極少化させる技術」を実現し、カーボンニュートラルな世界を目指すための新たな技術戦略を発表した。同社は、製造からリサイクルまでの全工程でエネルギー消費を最小限に抑える技術を開発し、移動の喜びを提供しつつ環境負荷を軽減することを目指している。

スズキの新戦略には、いくつかの重要な取り組みが含まれている。まず、「HEARTECT(ハーテクト)」と呼ばれる軽量かつ高い耐性を持つ車体構造をさらに進化させ、省資源とCO2削減に貢献する軽量化技術を推進する。

また、電動車両に関しては、バッテリーリーンなBEV(Battery Electric Vehicle)およびHEV(Hybrid Electric Vehicle)を開発し、国や地域の再生可能エネルギー状況や顧客の使用状況に応じた最適な電動車の提供を目指す。

内燃機関(ICE)技術においても、2023年に開発した高効率エンジン(Z12E型エンジン)をベースに、最大熱効率40%を達成。この技術を展開し、カーボンニュートラル燃料対応や次世代ハイブリッドシステムによるエネルギー極少化を目指す。

さらに、SDV(Software Defined Vehicle)ライトというソフトウェアによる車両価値創造の仕組みを導入し、エネルギー消費を抑えた車両を提供する。

リサイクルしやすい易分解設計も大きな柱である。従来の直線型経済(リニアエコノミー)では、原材料の採掘から製造・利用・廃棄までの流れが一方向であり、エネルギーの大量消費や資源の枯渇、環境破壊を引き起こす要因となっていた。スズキは、リサイクルや再利用を前提とした分解しやすい製品設計を進め、サーキュラーエコノミー(循環型経済)の実現を図る。

スズキは1920年に設立された日本の自動車メーカーであり、小型車やオートバイの製造で知られている。持続可能な社会を目指すため、技術革新と環境保護を重視した事業戦略を展開する。

【プレスリリース】スズキ、10年先を見据えた技術戦略を発表
【参照記事】スズキ株式会社技術戦略説明会
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(※画像の出典:スズキ株式会社)